Sunday, 12 January 2020

ファンドレイザーにも役立つ「先行研究調査」

寄付研究の第一歩は、先行研究調査です。先日の記事のように、寄付を研究した論文は心理学・経済学(行動経済学・公共経済学)・経営学・行動科学(意思決定論)・社会学・非営利組織研究・法学などに散らばっていますので、いかに網羅的に、かつ必要な論文を効率的に収集するのか?が重要な課題です。

ファンドレイザーにとっても役立つ

ファンドレイザーなどの寄付に関わる実務者にとっても、先行研究調査は役立ちます。私はここ20年ほど、ボランティアや有給の仕事としてファンドレイジングに携わっておりますが、より良いファンドレイジングを行うためのヒントを論文から得たことが多くあります。

たとえば、寄付を呼び掛けるウェブサイトにどんな写真を掲載するべきか?遺贈について倫理的にNGとなる寄付募集はどんなケースか?などなど。論文さまさまです。

総説論文を手に入れたいが、日本語では見つけられず

個別の論文を読むのも良いのですが、総説論文が手に入ると、効果的に「研究の現在地」を把握できます。

残念ながら、google scholarやCiNiiでは、「寄付 総説」「charity 総説」などのキーワードで日本語の適切な文献を見つけることができませんでした。(日本語での寄付・ファンドレイジング研究の総論は、いつか自分も書きたい!と思っております)

むやみに文献調査をスタートするのは効率的ではないので、まずは先人がどんな先行研究調査をしたのかがわかるreview articleまたは総説と言われるものをチェックしたのが下記の記事です。

https://watanabefumitaka.blogspot.com/2019/12/charitable-giving-handbook-of-public.html

https://watanabefumitaka.blogspot.com/2019/12/eight-mechanisms-that-drive-charitable.html

レビュー論文の書き方についての論文

ここで、神戸大学の服部先生が先行研究レビューについてつぶやいているのを目にしまして、いったん論文収集をストップし、「そもそもレビューをどうやって書けばよいのか」についての文献にあたっているところです。



他にも、NIHのウェブサイトで下記のようなシンプルな記事も見つけました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3715443/
こちらも。
https://www.editage.jp/insights/5-tips-to-write-a-great-literature-review

そもそも、研究とは?


また、そもそも研究をするというのはどういうゴールに向けての、どんなプロセスを経るものなのか?についても良い本が見つかったので、そちらを読んでいるところ。

この本は、「研究」をサポートする仕事(研究所の職員、秘書、大学ファンドレイザー、新人URAなど)に就いている人にもおすすめしたい素晴らしい書籍です・・・!







『日本の寄付を科学する 利他のアカデミア入門』の執筆に参加しました

坂本治也先生編著『日本の寄付を科学する 利他のアカデミア入門』のうち、2つの章を執筆しました。 2023年12月8日が出版予定日です。11月27日現在、下記のとおりAmazonから現在予約できる状態になっています。 私は、 第10章 分野によって寄付行動に違いがあるのはなぜか? ...