2026年1月2日金曜日

ファンドレイジング・アクションリサーチ研究会のオリエンテーションについて

 非営利組織における、ファンドレイジング(寄付募集)の研究をしております渡邉文隆と申します。

このたび、日本パブリックリレーションズ学会の研究会のひとつとして、ファンドレイジング・アクションリサーチ研究会というものを開催します。


これは、ファンドレイジング活動の改善と、論文執筆によるファンドレイジング研究への貢献という2つの成果を目指して行うものです。


今回は初回であり、オリエンテーションとして、

・アクションリサーチとはなにか

・ファンドレイジングにおけるシステム思考について

・本プロジェクトにおける生成AIの活用方法

・考えたことおよび活動したことの記録方法

・本格的に参加する場合のタイムスケジュール

・参加にあたっての同意事項や守秘義務に関する説明

などを行う予定です。


お申込みは、下記のフォームから1月9日までにお願いいたします。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScJxRA_FgywxYrJYPZIVsQzNbZ-A5Nn8BEC559fBHPXzpHsPA/viewform?usp=dialog


なぜこの研究会をスタートするのか

本研究は、academistの月額支援型クラウドファンディングである『「研究への寄付募集」の研究で、日本の大学の10年後を変える』というプロジェクトの一環として実施されます。

https://academist-cf.com/fanclubs/274/progresses?lang=ja

日本の大学を中長期的に変えるためには実務と理論を往復しながらファンドレイジングに携わる人がもっと多く必要だと考えており、そのための取り組みのひとつが本研究会です。

なお、第一期のアクションリサーチの結果は、昨年11月に米国で開かれた国際学会であるARNOVAにてOrganizing Fundraising for Research in Japan: Challenges and Solutions through the Theory of Constraintsというタイトルで発表しました。

今回は、その第一期のアクションリサーチの結果を踏まえた第二期アクションリサーチに向けた準備プロジェクトでもあります。


なぜ生成AIを活用するのか

一義的には、生成AIがファンドレイジングに関するアクションを行ううえで役立つ、という推測を(第一期の結果を踏まえて)しているからです。

第一期のアクションリサーチではできなかった支援を提供するために、生成AIを活用します。


また、生成AIの時代になって、研究者の役割は変化してきていると感じています。

純粋に理論的な研究や、文献レビューといった仕事は、かなりの部分がAIによってなされるようになっていくと思われます。

一方で、現実をシステムとして捉え、その変革を目指す人たちとともにAIを駆使しながら伴走することは、必要とされるインプットとアウトプットが複雑かつ多様であり、現在のところ人間の研究者にしかできない仕事であると考えています。


上記の二点を考慮して、今回のアクションリサーチは生成AIを活用したものにすると決定しました。


研究会が成功した時に何が起きるか

この研究会がうまく成功すると、これまでとは異なったパターンでのファンドレイジングの成功が生まれていく可能性があります。

また、それらは透明性の高い形で言語化されて論文になり、今後の寄付募集の科学にとっての貴重な文献として活用されることが期待されます。


しかし、最も重要なのは、自分やチームでの実践を客観視して、理論に基づいた打ち手を生成AIも使って考え実行し、それを記録して発信していける人が育つということです。

そのような人々は日本の大学にファンドレイザーや教員・研究者として求められる人材像と重なるであろうと思われ、中長期的に日本の大学を変える力になると考えています。


本プロジェクトに必要なリソース

本プロジェクトでは、第一期と異なり、参加者同士が交流して刺激を与えあうことを想定しています。一度は全員が対面で会えることが理想であり、そのためには交通費や会場費などが必要です。

もしもそのようなリソースを提供くださる場合には、academistのウェブサイトからご支援をお願い申し上げます。

https://academist-cf.com/fanclubs/274/progresses?lang=ja


2025年7月13日日曜日

大学・専門学校等、学校・図書館・博物館等、政治団体、公益法人などの各セクターへの寄付額

 文部科学省「令和5年度 大学等における産学連携等実施状況について」

https://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/sangaku/1413730_00004.html

→大学や専門学校などの寄附額、共同研究費などが法人ごとにわかります。


文部科学省「令和6年度文部科学省寄附フォーラム 寄附促進に係る諸制度について」

https://www.mext.go.jp/content/20240711-mxt_kanseisk01-000037027-001.pdf

→国立研究開発法人など、あまり統計が手に入らない法人の寄附額がわかります。


文部科学省「報道発表 令和6年度地方教育費調査(令和5会計年度)の中間報告について公表します」

https://www.mext.go.jp/content/20250625-mxt_chousa01-000043292_1.pdf

→公立の高等学校、中学校、小学校、博物館、図書館などへの寄附額がわかります。


内閣府「令和元年度 公益法人の寄附金収入に関する実態調査 結果報告書」

https://www.koeki-info.go.jp/content/02_Houkoku_R1.pdf

→公益法人の寄附金収入についてかなりよくわかります。


公益財団法人日本非営利組織評価センター「発行のお知らせ 一般社団法人及び一般財団法人の組織運営に関する実態調査」

https://jcne.or.jp/2023/03/27/report-10/

→一般法人についての貴重な調査。


内閣府NPOホームページ「令和5年度特定非営利活動法人に関する実態調査」

https://www.npo-homepage.go.jp/toukei/npojittai-chousa/2023npojittai-chousa

→NPO法人、認定NPO法人の寄附募集の状況がわかります。


総務省「報道資料 令和5年分政治資金収支報告の概要(総務大臣届出分+都道府県選管届出分)」

https://www.soumu.go.jp/main_content/000984520.pdf

→政治団体が集めている寄附額がわかります。


内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局・内閣府地方創生推進事務局「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の令和5年度寄附実績について(概要)」https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/pdf/R05_keinen_zisseki.pdf

→企業版ふるさと納税の金額がわかります。


国税庁「会社標本調査」

https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/kaishahyohon/top.htm

→寄付白書の法人寄付データの元になっている統計。業種別の寄附額など、かなりいろいろなことが分かります。

2023年11月27日月曜日

『日本の寄付を科学する 利他のアカデミア入門』の執筆に参加しました

坂本治也先生編著『日本の寄付を科学する 利他のアカデミア入門』のうち、2つの章を執筆しました。


2023年12月8日が出版予定日です。11月27日現在、下記のとおりAmazonから現在予約できる状態になっています。



私は、

第10章 分野によって寄付行動に違いがあるのはなぜか?

第15章 寄付者は寄付からどのようなメリットを得るのか?

という2つの章について執筆をさせていただきました。


「第10章 分野によって寄付行動に違いがあるのはなぜか?」は私の博士研究から派生した研究で、環境や動物保護など、各分野によって寄付の集まり方に違いがある、という状況を詳しく分析していったものです。

これまで「コンテクスト」といった言葉で表現されてきたような、寄付行動に影響を与える各種の要因も先行研究から洗い出しましたので、実務者の方にも役立つのでは、と思います。


「第15章 寄付者は寄付からどのようなメリットを得るのか?」は、寄付者の満足や幸福について考えてきたことを集約した原稿です。アジアの寄付者の特性、日本の寄付者の特性など、米国を中心とした研究ではカバーされてこなかった部分にも光を当ててみました。


今回の執筆プロセスは、編者の坂本先生や明石書店の方々には諸々(ほんとうに)お手数をおかけし、多くを学んだ日々でした。坂本先生、編集者の方々に、心から感謝しています。


これまで、寄付についての研究を志す日本国内の人にとって、関連研究がまとまっている場はあまり多くありませんでした。


その数少ない例外が、日本ファンドレイジング協会の「日本の寄付研究アーカイブ」と日本寄付財団の「Academic Research on Donations」だと思います。


しかしこれらは、インターネット上の媒体であるため、「図書館をぶらぶらしていて行き当たる」ということはありません。


今回の『日本の寄付を科学する』という書籍は、図書館をあてどなくさまよっている(過去の私のような)潜在的な読者との接触可能性の面でも、その内容の面でも、これまでにない価値あるものになっていると思います。


この本おもしろそうと思ってくださった方、本当におもしろいですので、ぜひお手に取ってみてください!

https://amzn.to/3SZW04L

※本投稿は、academistのプロジェクト「「研究への寄付募集」の研究で、日本の大学の10年後を変える」の活動報告を編集したものです。

2023年7月27日木曜日

『月刊 大学マネジメント』寄稿「寄付募集の科学で大学はどう変われるか」参考文献

今回は、大学マネジメント研究会様からのご依頼で、『月刊 大学マネジメント』に寄稿をさせていただきました。多く大学人の方々がご覧になる雑誌なので、反応が大変楽しみです。


Aaker, J. L., & Akutsu, S. (2009). Why Do People Give? The Role of Identity in Giving. Journal of Consumer Psychology, 19(3), 267–270. https://doi.org/https://doi.org/10.1016/j.jcps.2009.05.010


Barends, E., & Rousseau, D. M. (2018). Evidence-Based Management: How to Use Evidence to Make Better Organizational Decisions. Kogan Page Publishers.


Bell, B. (2003). The Science of Fundraising. Nonprofit World, 21(3), 7–8.


Bizzarri, A., & Cardinali, S. (2023). The State-of-the-Art and Future Research Directions in Bequest Fundraising by Nonprofit Organizations: A Systematic Literature Review. Journal of Philanthropy and Marketing, e1792. https://doi.org/https://doi.org/10.1002/nvsm.1792


Chapman, C. M., Hornsey, M. J., & Gillespie, N. (2021). To What Extent Is Trust a Prerequisite for Charitable Giving? A Systematic Review and Meta-Analysis. Nonprofit and Voluntary Sector Quarterly, 08997640211003250. https://doi.org/10.1177/08997640211003250


Chapman, C. M., Louis, W. R., Masser, B. M., & Thomas, E. F. (2022). Charitable Triad Theory: How Donors, Beneficiaries, and Fundraisers Influence Charitable Giving. Psychology & Marketing, 39(9), 1826–1848. https://doi.org/https://doi.org/10.1002/mar.21701


Fiennes, C. (2017). We Need a Science of Philanthropy. Nature, 546(7657), 187.


Goldratt, E. M. (1990). Theory of Constraints. North River Croton-on-Hudson.


Haruvy, E., Popkowski Leszczyc, P., Allenby, G., Belk, R., Eckel, C., Fisher, R., Li, S. X., List, J. A., Ma, Y., & Wang, Y. (2020). Fundraising Design: Key Issues, Unifying Framework, and Open Puzzles. Marketing Letters, 31(4), 371–380. https://doi.org/10.1007/s11002-020-09534-8


Karlan, D., Tantia, P., & Welch, S. (2019). Behavioral Economics and Donor Nudges: Impulse or Deliberation? Stanford Social Innovation Review. https://ssir.org/articles/entry/behavioral_economics_and_donor_nudges_impulse_or_deliberation


Lee, S., Moon, S.-I., & Feeley, T. H. (2016). A Meta-Analytic Review of the Legitimization of Paltry Favors Compliance Strategy. Psychological Reports, 118(3), 748–771.


Lindahl, W. E., & Winship, C. (1992). Predictive Models for Annual Fundraising and Major Gift Fundraising. Nonprofit Management and Leadership, 3(1), 43–64.


Nwakpuda, E. I. (2020). Major Donors and Higher Education: Are STEM Donors Different from Other Donors? Nonprofit and Voluntary Sector Quarterly, 49(5), 969–988. https://doi.org/10.1177/0899764020907153


Ocasio, W., Pozner, J.-E., & Milner, D. (2020). Varieties of Political Capital and Power in Organizations: A Review and Integrative Framework. Academy of Management Annals, 14(1), 303–338.


Okuyama, N., & Yamauchi, N. (2015). Giving in Japan: The Role of Philanthropy in Strengthening Civil Society. In P. Wiepking & F. Handy (Eds.), The Palgrave Handbook of Global Philanthropy (pp. 404–425). Palgrave Macmillan UK. https://doi.org/10.1057/9781137341532_24


Palmatier, R. W., & Steinhoff, L. (2019). Relationship Marketing in the Digital Age. Routledge.


Saeri, A. K., Slattery, P., Lee, J., Houlden, T., Farr, N., Gelber, R. L., Stone, J., Huuskes, L., Timmons, S., Windle, K., Spajic, L., Freeman, L., Moss, D., Behar, J., Schubert, S., Grundy, E. A. C., & Zorker, M. (2022). What Works to Increase Charitable Donations? A Meta-Review with Meta-Meta-Analysis. VOLUNTAS: International Journal of Voluntary and Nonprofit Organizations. https://doi.org/10.1007/s11266-022-00499-y


Shapiro, R. A. (2018). Philanthropists in Asia: What Do They Want? What Do They Get? BT - Pragmatic Philanthropy: Asian Charity Explained (R. A. Shapiro, M. Mirchandani, & H. Jang (Eds.); pp. 85–100). Springer Singapore. https://doi.org/10.1007/978-981-10-7119-5_4


Van Teunenbroek, C., Bekkers, R., & Beersma, B. (2020). Look to Others Before You Leap: A Systematic Literature Review of Social Information Effects on Donation Amounts. Nonprofit and Voluntary Sector Quarterly, 49(1), 53–73. https://doi.org/10.1177/0899764019869537


Whillans, A. V. (2016). A Brief Introduction to the Science of Fundraising. https://www.case.org/system/files/media/file/Whillans_whitepaper_2016_FINAL.pdf


Worth, M. J. (2015). Fundraising: Principles and Practice. SAGE Publications.


渡邉文隆. (2022). 寄付市場の成長ドライバー・断片化・公正性―SCP パラダイムと市場の質理論の視点から―. ノンプロフィット・レビュー, 22(1), 33–48. https://doi.org/10.11433/janpora.NPR-D-22-00004


渡邉文隆. (2023). 医学研究への個人高額寄付募集の戦略に関する考察―効用ベース・アピールベースのアプローチの統合と実務への示唆─. 研究 技術 計画, 37(4), 449–465. https://doi.org/10.20801/jsrpim.37.4_449

2023年7月5日水曜日

同志社大学ゲスト講義「寄付募集の科学とこれからのソーシャルセクター」参考文献

本日は、信州大学社会基盤研究所の特任講師としてのお仕事の日でして、同志社大学の授業にゲスト講師としてお邪魔します。

お題としては「寄付募集の科学とこれからのソーシャルセクター」ということなのですが、「これからのソーシャルセクター」は授業を聞いてくださる皆さん次第!なので、寄付とは何か、寄付募集を科学的に考えるとどんな風になるのか、をお話しして参ります。

加えて、学部生の頃、修士の頃にこんな話が聞けたら良かった!というようなリサーチメソッドについてのお話もしてくるつもりです。

ファンドレイザーという職業に関心を持ってくださった学生さんは、日本ファンドレイジング協会の門を叩いていただくのも良いのではと思っております。

https://jfra.jp/


<参考文献>

Andreoni, J. (1990). Impure altruism and donations to public goods: A theory of warm-glow giving. The Economic Journal, 100(401), 464-477. https://doi.org/10.2307/2234133


Andreoni, J. (1998). Toward a theory of charitable fund raising. Journal of Political Economy, 106(6), 1186-1213. https://doi.org/10.1086/250044


De Meur, G., Bursens, P., & Gottcheiner, A. (2006). MSDO/MDSO revisited for public policy analysis. In B. Rihoux & H. Grimm (Eds.), Innovative comparative methods for policy analysis: Beyond the quantitative-qualitative divide (pp. 67-94). Springer US. https://doi.org/10.1007/0-387-28829-5_4


Drucker, P. (2012). Managing the non-profit organization. Taylor & Francis. https://books.google.co.jp/books?id=l6UsBgAAQBAJ


Duncan, B. (2004). A theory of impact philanthropy. Journal of Public Economics, 88(9), 2159-2180. https://doi.org/10.1016/S0047-2727(03)00037-9


Eisenhardt, K. M. (2021). What is the Eisenhardt method, really? Strategic Organization, 19(1), 147-160.


Frumkin, P. (2008). Strategic giving: The art and science of philanthropy. University of Chicago Press. https://books.google.co.jp/books?id=Gv9ejrvJf7AC


Gneezy, U., Keenan, E. A., & Gneezy, A. (2014). Avoiding overhead aversion in charity. Science, 346(6209), 632-635. https://doi.org/10.1126/science.1253932


Knowles, S., & Servátka, M. (2015). Transaction costs, the opportunity cost of time and procrastination in charitable giving. Journal of Public Economics, 125, 54-63. https://doi.org/10.1016/j.jpubeco.2015.03.001


Lee, S., Moon, S.-I., & Feeley, T. H. (2016). A meta-analytic review of the legitimization of paltry favors compliance strategy. Psychological Reports, 118(3), 748-771.


Ma, J., Ebeid, I. A., de Wit, A., Xu, M., Yang, Y., Bekkers, R., & Wiepking, P. (2021). Computational social science for nonprofit studies: Developing a toolbox and knowledge base for the field. VOLUNTAS: International Journal of Voluntary and Nonprofit Organizations. https://doi.org/10.1007/s11266-021-00414-x


Minguez, A., & Sese, F. J. (2022). Periodic versus aggregate donations: Leveraging donation frequencies to cultivate the regular donor portfolio. Journal of Service Research. https://doi.org/10.1177/10946705221103270


Phillips, E., & Pugh, D. S. (角谷快彦訳). (2018). 博士号のとり方: 学生と指導教員のための実践ハンドブック. 名古屋大学出版会. https://ci.nii.ac.jp/ncid/BB26985565.bib


Rihoux, B. (2006). Qualitative comparative analysis (QCA) and related systematic comparative methods: Recent advances and remaining challenges for social science research. International Sociology, 21(5), 679-706. https://doi.org/10.1177/0268580906067836


Strahilevitz, M. A. (2011). A model of the value of giving to others compared to the value of having more for oneself. In D. M. Oppenheimer & C. Y. Olivola (Eds.), The science of giving: Experimental approaches to the study of charity (pp. 15-34). Psychology Press.


宇沢弘文. (2000). 社会的共通資本. 岩波書店. https://books.google.co.jp/books?id=SrPnPAAACAAJ


渡邉文隆. (2022). 寄付市場の成長ドライバー・断片化・公正性―SCP パラダイムと市場の質理論の視点から―. ノンプロフィット・レビュー, 22(1), 33-48. https://doi.org/10.11433/janpora.NPR-D-22-00004


渡邉文隆. (2023). 医学研究への個人高額寄付募集の戦略に関する考察―効用ベース・アピールベースのアプローチの統合と実務への示唆─. 研究技術計画, 37(4), 449-465. https://doi.org/10.20801/jsrpim.37.4_449


牧野成史. (2011). マルチレベル分析の考え方. 組織科学, 44(4), 14-25. https://doi.org/10.11207/soshikikagaku.20220820-80



2023年6月13日火曜日

iPS再生医療学各論「再生医療とファンドレイジング」参考文献リスト

例年に続いて2023年にも担当する「再生医療とファンドレイジング」という授業の参考文献リストです。(以前のものからアップデートしました)

京都大学医学部の方々向け授業ということで、つまりは医療従事者や医学研究者を目指す方々向けにファンドレイジングについてお話しをさせていただくことになります。

山中伸弥教授が医師・医学研究者であると同時に、寄付募集(ファンドレイジング)にも力を入れて取り組んでこられたことは(マラソン大会への出場などで)知られていますが、この授業の受講者の方々のなかにも、これからの医療・医学の進歩のために、寄付という尊い資源を適切・効果的に活用できる人が出てきてくれることを祈るばかりです。


<参考文献>

Andreoni, J., & Rao, J. M. (2011). The power of asking: How communication affects selfishness, empathy, and altruism. Journal of Public Economics, 95(7), 513–520. https://doi.org/https://doi.org/10.1016/j.jpubeco.2010.12.008

Andreoni, J., Rao, J. M., & Trachtman, H. (2017). Avoiding the Ask: A Field Experiment on Altruism, Empathy, and Charitable Giving. Journal of Political Economy, 125(3), 625–653. https://doi.org/10.1086/691703

Arnett, D. B., German, S. D., & Hunt, S. D. (2003). The Identity Salience Model of Relationship Marketing Success: The Case of Nonprofit Marketing. Journal of Marketing, 67(2), 89–105. http://10.0.5.229/jmkg.67.2.89.18614

Erro-Garcés, A., & Alfaro-Tanco, J. A. (2020). Action Research as a Meta-Methodology in the Management Field. International Journal of Qualitative Methods, 19, 1609406920917489. https://doi.org/10.1177/1609406920917489

Huck, S., & Rasul, I. (2010). Transactions costs in charitable giving: evidence from two field experiments. The BE Journal of Economic Analysis & Policy, 10(1).

Martinez-Conde, S. (2016). Has Contemporary Academia Outgrown the Carl Sagan Effect? The Journal of Neuroscience : The Official Journal of the Society for Neuroscience, 36(7), 2077–2082. https://doi.org/10.1523/JNEUROSCI.0086-16.2016

Michon, R., & Tandon, A. (2012). Emerging philanthropy markets. International Journal of Nonprofit and Voluntary Sector Marketing, 17(September), 352–362. https://doi.org/10.1002/nvsm

Murray, F. (2013). Evaluating the Role of Science Philanthropy in American Research Universities. Innovation Policy and the Economy, 13, 23–60. https://doi.org/10.1086/668238

Rousseau, D. M. (2006). Is there such a thing as “evidence-based management”? Academy of Management Review, 31(2), 256–269.

Sargeant, A., Eisenstein, A., & Kottasz, R. (2015). Major Gift Fundraising: Unlocking the Potential for Smaller Nonprofits. Centre for Sustainable Philanthropy, Plymouth University Plymouth.

山中伸弥. (2018). iPS細胞がひらく新しい医学. 学術の動向, 23(7), 7_78-7_89. https://doi.org/10.5363/tits.23.7_78

髙橋淳. (2018). パーキンソン病に対する幹細胞治療. 脳神経外科ジャーナル, 27(12), 874–881. https://doi.org/10.7887/jcns.27.874


<参考サイト>

iPS細胞による再生医療等の技術開発を応援したい
~ライフサイエンス・先端産業による社会課題解決をめざして~
(ふるさと納税型クラウドファンディング)
https://www.furusato-tax.jp/feature/a/gcf-ips

iPS財団「毎月のご支援」募集特設ページ
https://www.cira-foundation.or.jp/lp/

Heartseed株式会社のプレスリリース
http://heartseed.jp/pdf/20210601_J__HS-NN_PR.pdf

柳井正様からのご寄付に関する京都大学のプレスリリース
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news/2020-06-24

TOC(制約理論)によるiPS基金の募集について取り上げていただいた
ゴールドラットジャーナル
https://www.goldrattjournal.com/vol_007.html

寄付白書2013の概要。高額寄付者の方の遺贈寄付意向についても紹介されている
http://jfra.jp/wp/wp-content/uploads/2014/02/gj2013_summary.pdf

CiRAの充実した刊行物
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/publication.html

新型コロナ禍でのファンドレイジング。オンラインコミュニケーションの分野ごとの違い
https://jfra.jp/fundraisingjournal/3886/

academistで行っているプロジェクト
https://academist-cf.com/fanclubs/274/comments?lang=ja

2023年4月2日日曜日

研究開発エコシステムにおける「寄付募集の科学」の役割

academist Prizeでの発信をスタートしてからはブログ更新をacademistの方に移行していましたが、今回は重要な資料が発行されたので、研究ブログの方でアップします。

『拡張する研究開発エコシステム 研究資金・人材・インフラ・情報循環の変革に乗り出すアントレプレナーたち』

https://www.jst.go.jp/crds/pdf/2022/RR/CRDS-FY2022-RR-03.pdf

これは、国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センターによる約60ページにわたるレポートで、日本の研究開発の未来にとって重要な示唆を与えてくれるものだと考えます。

本レポートに対しては、自分も寄付募集の研究者としてヒアリング協力をさせていただいたという経緯もあり、ご紹介したいと思いました。

「フィランソロピーは、その科学への投資額を増やしているだけでなく、研究開発エコシステムの拡張・変革の先導役も果たしてきた」(p43)

という表現のとおり、寄付が研究開発において果たす役割は大きいものです。


一方で、こうした寄付は、必ずしも優れた研究開発を行っている機関や研究者に対して自然と寄せられる、というわけではありません。

寄付は、情報発信や寄付の依頼によって生じる面も強く、私が追求したいと考えている寄付募集の科学(Science of Fundraising)はその面で研究開発エコシステムの発展に貢献できると考えています。

寄付は言うまでもなく、寄付をする側が大きなパワーを持っている社会的な営為であると考えられます。

一方で、小さな額の寄付であっても、それが集まることで大きな力になる、ということもあります。ごく少数の個別具体的なmajor giftを予測することは難しくとも、そうでない、一般の方々から寄せられるご寄付については、その金額や件数の確率論的な予測も可能になるでしょう。

ある活動から得られる成果の予測可能性が高まることは、その活動に対する先行投資を容易にします。

研究開発エコシステムを発展させるための先行投資をしやすくする、というのが、「寄付募集の科学」が果たすことのできる役割のひとつであると考えます。


上記のレポートでは、様々なプレイヤーが研究開発エコシステムの中で果たしている、果たそうとしている役割について豊富な情報が掲載されています。

そして、その中での「寄付募集の科学」の役割も見て取れるかと思います。

ぜひ、ご覧いただければ幸いです。





2022年12月10日土曜日

シンポジウム「立ち止まって、考える」での発表「大学の貢献と、寄付が生み出す暖かな光」引用文献

2022年12月10日の京都大学人と社会の未来研究院シンポジウム「立ち止まって、考える」に登壇させていただきます。

どなたでも、下記YouTubeからご視聴いただけます。

12時半開始で、私はおそらく15時頃登壇するかと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=MRfmps3QTHk

当日のスライドにて引用している文献は下記のとおりです。

内容としては、

・寄付って何なのか

・人はなぜ大学に寄付をするのだろうか(どんなモデルで説明できるのか)

というようなことをお話しする予定です。


(引用文献の下にもちょっと本文が続きます)


<引用文献>

Andreoni, J. (1989). Giving with Impure Altruism: Applications to Charity and Ricardian Equivalence. Journal of Political Economy, 97(6), 1447–1458. http://www.jstor.org/stable/1833247

Andreoni, J. (1990). Impure Altruism and Donations to Public Goods: A Theory of Warm-Glow Giving. The Economic Journal, 100(401), 464–477. https://doi.org/10.2307/2234133

Andreoni, J. (1995). Warm-Glow Versus Cold-Prickle: The Effects of Positive and Negative Framing on Cooperation in Experiments. The Quarterly Journal of Economics, 110(1), 1–21. https://doi.org/10.2307/2118508

Andreoni, J. (1998). Toward a Theory of Charitable Fund Raising. Journal of Political Economy, 106(6), 1186–1213. https://doi.org/10.1086/250044

Becker, G. S. (1974). A Theory of Social Interactions. Journal of Political Economy, 82(6), 1063–1093.

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Brown, P. H., & Minty, J. H. (2008). Media Coverage and Charitable Giving after the 2004 Tsunami. Southern Economic Journal, 75(1), 9–25. https://search.proquest.com/docview/212146275?accountid=11929

Chuan, A., Kessler, J. B., & Milkman, K. L. (2018). Field Study of Charitable Giving Reveals that Reciprocity Decays over Time. Proceedings of the National Academy of Sciences, 115(8), 1766 LP – 1771. https://doi.org/10.1073/pnas.1708293115

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Frumkin, P. (2008). Strategic Giving: The Art and Science of Philanthropy. University of Chicago Press. https://books.google.co.jp/books?id=Gv9ejrvJf7AC

Ma, J., Ebeid, I. A., de Wit, A., Xu, M., Yang, Y., Bekkers, R., & Wiepking, P. (2021). Computational Social Science for Nonprofit Studies: Developing a Toolbox and Knowledge Base for the Field. VOLUNTAS: International Journal of Voluntary and Nonprofit Organizations. https://doi.org/10.1007/s11266-021-00414-x

Ostrower, F. (1995). Why the Wealthy Give: The Culture of Elite Philanthropy. Princeton University Press.

Park, E.-S. (2000). Warm-glow versus Cold-prickle: a Further Experimental Study of Framing Effects on Free-riding. Journal of Economic Behavior & Organization, 43(4), 405–421. https://doi.org/https://doi.org/10.1016/S0167-2681(00)00128-1

Watanabe, F. (2022). The Benefits of Separating Charitable and Philanthropic Giving in Nonprofit Marketing: Concept Analyses and Proposal of Operational Definitions (No. 2022-001-J; Japan NPO Research Association Discussion Papers). https://janpora.org/dparchive/pdf/20220624J.pdf

Wright, K. (2001). Generosity vs. Altruism: Philanthropy and Charity in the United States and United Kingdom. Voluntas, 12(4), 399–416. https://doi.org/10.1023/A:1013974700175

水越康介, & 藤田健編. (2013). 新しい公共・非営利のマーケティング. 碩学舎.

渡邉文隆. (2022). 寄付市場の成長ドライバー・断片化・公正性. ノンプロフィット・レビュー, advpub. https://doi.org/10.11433/janpora.NPR-D-22-00004



先日入ったカフェで、本棚に国際協力NGOの代表の方の書籍や、寄付を募るチラシなどが置いてありました。

音楽が流れて、あったかいヒーターがあって、本当に素敵な一角だったので店の人にお願いして写真を撮らせてもらいました。

寄付は人の心を暖かくする、というのは直観的に感じるところですが、今日はその話を他の先生方や一般の方々と一緒にできるのを楽しみにしています。



寄付や寄付募集の研究にちょっと関心あるかも、と思った方、ぜひ下記ページもご覧ください。academistというサイトで、月額支援型のクラウドファンディングに挑戦中です。

https://academist-cf.com/fanclubs/274?lang=ja

2022年10月1日土曜日

日本NPO学会セミナー「寄付・ファンドレイジング研究の最前線 -Emerging Scholarsの研究に学ぶ」で仙台にお伺いします

大変ありがたい機会をいただきまして,11月6日(日)の午後,日本NPO学会のセミナーに登壇させていただくことになりました.

https://janpora.org/news/pdf/20220930.pdf

対面65名の席と,簡易オンライン配信があるとのことです.

鎌倉女子大学 学術研究所 准教授 福井 文威先生のご発表もあります.

福井先生は,『米国高等教育の拡大する個人寄付』を執筆された方です.


福井先生の研究は,実際に日本の大学への評価性資産の寄付に関する制度設計にも影響を与えた,非常に重要なものです.

実務者として仰ぎ見ていた先生と実際にお目にかかれるということで,大変光栄に感じております.

討論者をしてくださる関西大学の坂本治也先生と,モデレーターをしてくださる東北大学の岡田彩先生は,私も執筆に加わらせていただいている,日本寄付研究センターの運営委員をされている方です.
(新しい記事がアップされていますので,ぜひご覧ください)

私の発表は,京大経営管理大学院で若林靖永教授・Spring H. Han先生のもとで進めてきた博士課程の研究を基にしたものです.坂本先生と岡田先生にフィードバックをいただけること,大変ありがたく思っています.

私は青森県の出身ですが,宮城県仙台市は,東日本大震災以降のNPOセクターの発展にとって非常に重要な役割を果たしてきた,研究者と実務者の集う土地だと認識しています.

会場の方々と交流する時間もあるとのことで,これも楽しみです.

会場で,またはオンラインで,ぜひご参加いただければ幸いです!



2022年9月11日日曜日

「社会的共通資本と未来」寄附研究部門創設記念シンポジウムのアーカイブ動画が公開されました

2022年7月23日に、京都大学の人と社会の未来研究院に設置された「社会的共通資本と未来」寄附研究部門の創設記念シンポジウムが開かれました。

「Beyond Capitalism~拡張する社会的共通資本~」

というお題だったのですが、私が主に社会の基盤的な役割を果たす組織(大学や図書館などの非営利組織)の寄付募集に関心を持っているということもあり、寄付に関する講演をさせていただいたものでした。

演者の先生方については、下記記事をご覧ください。

https://watanabefumitaka.blogspot.com/2022/07/blog-post.html

自分にとっては、これまでの人生で参加した全てのシンポジウムの中で最もおもしろかったものでした。

オンラインと会場で合わせて数百人の人に見ていただいたのですが、なんと!それに加えて、アーカイブ動画が公開されています。


「人間が自然と調和して生きていくことはできるのだろうか・・・」

「資本主義社会の次のフェーズって、どんな社会になるんだろう?」

「社会のインフラに対する寄付ってどうなんだろう」


といった疑問を持つ人にとっては、絶対におもしろいと思いますので、ぜひご覧ください。


その1: https://www.youtube.com/watch?v=B8XZyM1ASgA

・オープニングトーク 

 京都大学理事 久能祐子先生

 宇沢国際学館 代表取締役 占部まり先生

・基調講演

 「協生農法と拡張生態系 〜自然-社会共通資本のビジョンと本研究部門の方法序説」

  京都大学人と社会の未来研究院特定教授(社会的共通資本と未来寄附研究部門)

  舩橋真俊先生 



その2: https://www.youtube.com/watch?v=86tJeOaLvmg

・講演

 「ポスト資本主義のビジョン」

 京都大学人と社会の未来研究院 教授 広井良典先生  

・講演

 「寄附と利他行動の未来」

 信州大学社会基盤研究所 特任講師/京都大学経営管理大学院博士後期課程 渡邉文隆  


その3:https://www.youtube.com/watch?v=eIwuuIzZJPI

・講師によるパネルディスカッション

・ラップアップ

 京都大学経営管理大学院 グローバル社会起業寄附講座 客員准教授 村井暁子先生

 京都大学副学長/人と社会の未来研究院長/文学研究科教授 宇佐美文理先生


私の発表の引用文献は以下のとおりです。

https://watanabefumitaka.blogspot.com/2022/07/2022723.html


私は、人が幸せに暮らしていく上では、社会的共通資本に対して十分なリソースが集まることが重要だと考えています。

そのための補助的な財源として、寄付は重要なものであると考えます。

緊急的な危機ではなく、ゆっくりと進行する危機に対しては人々の共感は集まりにくいのかもしれませんが、そのハードルを越えていくにはどうするのかをこれからも考えて実践していきたいと思います。


2022年9月10日土曜日

寄付者満足に関する論考がAdcademic Research on Donationsに掲載されています

日本寄付財団のAdcademic Research on Donationsというウェブサイトには、日本の様々な寄付に関する論考が集まっているサイトです。

ありがたいことに、そのサイトに投稿させていただく機会を得まして、下記の論考を投稿させていただきました。


「寄付によって生まれる恩恵と寄付者満足度について考える」

https://nippon-donation.org/papers/586/


博士論文でバタバタしていて時間が経ってしまったのですが、ファンドレイジングに携わる方のみならず、寄付に関心を持つ一般の方々にもお読みいただければ幸いです。

Adcademic Research on Donationsには、他にも著名な先生方の記事が掲載されています。自分も大変勉強になりましたので、リンクを掲載します。

https://nippon-donation.org/academic-research-on-donations/page/2/


2022年7月18日月曜日

2022年7月23日「寄付と利他行動の未来」参考文献リスト

いつも、学会発表などの際にはスライドで引用した文献についてブログにアップするようにしています。

7月23日に開催予定の、

京都大学人と社会の未来研究院 社会的共通資本と未来寄附研究部門創設記念シンポジウム「Beyond Capitalism ~拡張する社会的共通資本~」

では、「寄附と利他行動の未来」と題してお話をさせていただく予定でして、そのスライドが完成したので、参考文献をアップします。

当日のオンライン視聴は無料で、7月20日(水)17時まで受け付けているようですので、よければぜひお申込みください。

https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/event/2022-07-01-0

今回の私からの発表のキーワードとなるのは、

・寄付文化と寄付市場

・科学的なファンドレイジング

・Philanthropy

・条件つき協力(Conditional cooperation)

・マーケティングと選好の内生性

などなどです。

当日の議論がたいへん楽しみです。


<参考文献>

Brest, P., & Wolfson, M. (2020). How to Think about Risk in Philanthropy. Stanford Social Innovation Review, 18(1), 57–58. https://search.proquest.com/magazines/how-think-about-risk-philanthropy/docview/2316724948/se-2?accountid=11929

Brown, P. H., & Minty, J. H. (2008). Media Coverage and Charitable Giving after the 2004 Tsunami. Southern Economic Journal, 75(1), 9–25. https://search.proquest.com/docview/212146275?accountid=11929

Chen, Q., Wang, C., & Wang, Y. (2009). Deformed Zipf’s law in personal donation. EPL (Europhysics Letters), 88(3), 38001. https://doi.org/10.1209/0295-5075/88/38001

Fischbacher, U., Gächter, S., & Fehr, E. (2001). Are people conditionally cooperative? Evidence from a public goods experiment. Economics Letters, 71(3), 397–404.

Frumkin, P. (2008). Strategic Giving: The Art and Science of Philanthropy. University of Chicago Press. https://books.google.co.jp/books?id=Gv9ejrvJf7AC

Ma, J., Ebeid, I. A., de Wit, A., Xu, M., Yang, Y., Bekkers, R., & Wiepking, P. (2021). Computational Social Science for Nonprofit Studies: Developing a Toolbox and Knowledge Base for the Field. VOLUNTAS: International Journal of Voluntary and Nonprofit Organizations. https://doi.org/10.1007/s11266-021-00414-x

Ostrom, E. (2000). Collective action and the evolution of social norms. Journal of Economic Perspectives, 14(3), 137–158.

Ostrower, F. (1995). Why the wealthy give: The culture of elite philanthropy. Princeton University Press.

Watanabe, F. (2022). The Benefits of Separating Charitable and Philanthropic Giving in Nonprofit Marketing: Concept Analyses and Proposal of Operational Definitions. https://janpora.org/dparchive/pdf/20220624J.pdf

Weisbrod, B. A. (1975). Toward a Theory of the Voluntary Nonprofit Sector in a Three-sector Economy. In E. S. Phelps (Ed.), Altruism, Morality, and Economic Theory. Russell Sage Foundation.

Wright, K. (2001). Generosity vs. altruism: Philanthropy and charity in the United States and United Kingdom. Voluntas, 12(4), 399–416. https://doi.org/10.1023/A:1013974700175

Yano, M. (2009). The Foundation of Market Quality Economics. The Japanese Economic Review, 60(1), 1–32. https://doi.org/10.1111/j.1468-5876.2008.00471.x

宇沢弘文. (2015). 宇沢弘文の経済学. 日本経済新聞出版社.

寄付白書発行研究会. (2021). 寄付白書2021 (日本ファンドレイジング協会 (ed.)). 日本ファンドレイジング協会.

小島寛之. (2018). 宇沢弘文の数学. 青土社. https://books.google.co.jp/books?id=rKkXvAEACAAJ

小野善康. (1996). 不況定常状態とインフレー供給曲線. 経済研究, 47(1). http://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/hermes/ir/re/19877/keizaikenkyu04701016.pdf

広井良典, & 福田幸二. (2021). AIを活用した政策提言と分散型社会の構想. 農林業問題研究, 57(1), 8–14. https://doi.org/10.7310/arfe.57.8

 

関係ないのですが、京都は夏だな、という感じの日々です。

 

2022年7月17日日曜日

『13歳からの経営の教科書』を読んで考えた、自学自習できない子ども・若者のこと

 『13歳からの経営の教科書』という本を読みました。

大変久しぶりなのですが、これは多くの人に読んでほしい、と思う本でしたので紹介したいと思います。


本の中身を書いてはいけない気がするので自制しておきますが、このブログを読んでおられるような、非営利組織に関わる方々にとっても、読んで全く損はない内容になっています。

今、本書の一部が試し読みできるので、ぜひご覧いただければと思います。

また、「あとがき」も公開されているので、ご一読ください。
著者のお父様は経営者であられたとのことですが、これ以上の親孝行はないだろう、と思うような名文です。

自分自身も田舎の母子家庭出身なのでまあまあ大変な人生前半を過ごしてきたと思うのですが、私が2000年代に約1年ずつ住んでいたブラジルやウガンダでは、小さい子どもや若者たちが何とか(親の力を借りずに、あるいは時には弟や妹を養いながら)サバイバルしなければならない、という状況をよく目にしました。

日本国内においても、こんな年齢の子どもがこんな苦境に陥るというのはどう考えてもおかしい、というシーンに何度も遭遇しました。主に、あしなが育英会での様々な活動での体験です。

そのような時、こんなテキストがあったならどれだけ良かっただろうか、と思います。

「食べ物にも困るような状況のなかで、経営についての教科書があっても仕方ないだろう」

そんなことを仰る方もいると思います。

たしかに、衣食住にも事欠くような状況にあっては、無償で提供されるランチや医薬品などは、極めて重要です。

学校での授業に加えて様々な労働をしながら、その日その日を何とか暮らしている子どもに「これからは誰もが経営ができるようになる必要があるのだから、経営を勉強しよう!」と言ってもかなり無理があります。

自学自習できない子ども・若者にこそ


ですから、約20年前にブラジルやウガンダにいた頃、こんなテキストがあったとして、それを直接彼ら彼女らに見せてあげたかった、とは思いません。

もしあの頃の自分がこのテキストをしっかり読んでいて、それを実践できていたら、きっと「経営」とはどういうことかを少しでも伝えられたのではないだろうか、と思うのです。

『13歳からの経営の教科書』を読んで、すくすくと経営を自学自習して実践していけるような子ども・若者は、おそらく相当に恵まれた環境の人だと思います。

ほとんどの人はそうではありません。

家庭環境が厳しい子ども・若者ほど、そんなアクロバティックな自学自習はできません。

だからこそ、回りの大人が自分の人生や活動や会社を「経営」し、子ども・若者に見せてあげたり、話してあげる必要があると思います。

私自身が高校を卒業するまで地元で暮らしていたとき、そもそも周りで知り合う大人のうち、「経営」の話をしてくれるような人はほとんどいませんでした。

そもそも、ビジネスをしている人が少なかったのです。

学校の教師か、市役所勤務か、農協勤務か、「子どもには継がせたくない」と言いながら農家をしている、という大人が多かったように記憶しています。

人口は減る一方、新たな雇用も生まれない。そんな閉塞した感覚に耐え切れずに、高校を卒業して都市に出たのでした。


ですから、私はこのテキストを多くの人に読んでほしいと思います。

特に、厳しい環境にいる子どもや若者と接する人々に読んでほしいです。

公立学校の先生。
通信制高校の先生。
児童養護施設の先生。
国際協力NGOの職員。
障がい児の療育施設の先生。
不登校の子供を支援するNPOの職員。
自治体のヤングケアラー担当の職員。

自分も時折、厳しい環境にいる子どもや若者と接しますので、経営を教えるための教科書として、この本を大切に活用させていただこうと思います。

加えて、日本の社長さんのうち女性はわずか14%あまりです。
ですから、

女の子を持つお父さん・お母さん
女子中学校・女子高校などの先生方

にも、読んでいただきたい本です。

非営利組織の「経営」を考える


こうして挙げていくと、「厳しい環境にいる子どもや若者と接する人々」は、だいたい非営利組織に所属していることがわかります。

非営利組織には、「経営」は不要でしょうか?

まさかそんなことはありません。

非営利組織やソーシャルビジネスに携わる人も、この本から学ぶことは多いと思います。

加えて、子どもたちの多くはやがて(非営利組織ではなく)民間企業で働くようになるわけですから、そのような子どもに接する人々が(民間企業を含む)経営について知っておき、それを子どもに伝えられることはとても重要だと思います。

とはいえ、多くの非営利組織の職員の方々、たとえば公立学校の先生にとっては、

「そんな時間がどこにあるのか?」

という話だと思います。

いまの仕事だけで手一杯で、そんな余裕は微塵もないという団体が多いと思います。

そのような組織にこそ、寄付の募集の方法論であるファンドレイジング(特に、経験やカンに依存したものではなく科学的なファンドレイジング)を習得をいただいて、「ゆとり」をつくりだしてほしいと思います。

(現実には、ファンドレイジングに時間や労力を投資しない、という組織も多くあります。

そのような組織は、行動に移すだけの危機感を抱いていないのか、リスクを恐れているか、その両方か、あるいは他の理由があるのか、それは私自身が研究で少しずつ明らかにしていきたいところです)

ファンドレイジングには、非営利組織の「経営」の自由度を大きく高める効果があります。

願わくば、
このブログ記事が1人でも多くの大人に届き、
『13歳からの経営の教科書』が1冊でも多く売れて、
その人が「経営」を実践する姿や話が
厳しい環境にある若者や子どもにチャンスを与える、
という状況が生まれてほしいと、強く思います。


※本ブログでは、Amazonへのリンク経由で購入が発生すると、数円~数十円くらいの少額のポイントがブログ著者のアカウントに入るようになっています。
ブログ読者の方々がどんな書籍に関心を持っているかを把握することで、よりニーズに沿った発信に務めていますので、ご了解ください。

2022年7月9日土曜日

シンポジウム「Beyond Capitalism ~拡張する社会的共通資本~」について考えていること

京都大学の「人と社会の未来研究院」に、「社会的共通資本と未来寄附研究部門」という研究部門ができました。

その創設記念シンポジウム「Beyond Capitalism ~拡張する社会的共通資本~」が、2022年7月23日(土)に開催されます。オンラインで、どなたでも申し込めば無料で視聴できます。

私も少しだけ登壇させていただき、「寄附と利他行動の未来」と題してお話をする予定です。

申込締切は、7月20日(水)17時とのこと。

下記ページから申し込みができます。

https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/event/2022-07-01-0

さて、今回の記事では、このシンポジウムの議論のための自分の予習内容を少し共有させていただきます。

それによって、当日参加される人が、よりおもしろく議論を聞いていただけるようになったら幸いです。


社会的共通資本とは?

社会的共通資本の概念を提唱された宇沢弘文先生の『宇沢弘文の経済学 社会的共通資本の論理』によると、社会的共通資本とは、

「1つの国ないし特定の地域が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような自然環境、社会的装置を意味する」(p45)

とされています。

社会的共通資本には、

「土地をはじめとする、大気、土壌、水、森林、河川、海洋などの自然資本」

と

「道路、上・下水道、公共的な交通機関、電力、通信施設などの社会的インフラストラクチャー」

そして

「教育、医療、金融、財政制度などという制度資本」(p47)

があります。

いずれも、私たちの生活にとって、非常に重要な存在ですよね。


「社会的共通資本から生み出されるサービスは、無料またはきわめて低廉な価格によって供給されるのが普通」(p68)です。

その意味で、「社会的共通資本から生み出されるサービスは、経済学にいう『公共財』(public goods)の一種と考えられる」(p68)とのことです。


公共財の供給における「政府の失敗」

ここで、議論を非営利組織論に移していこうと思います。『はじめてのNPO論』によると、

「限られた財源のもとで政府が(準)公共財を供給しようとするとき、(中略)政府が供給する(準)公共財は、投票者の過半数が望むものに限られてしまい、それ以外の人が望むものがまったく供給されないか、過少にしか供給されないという『政府の失敗』が生じてしまいます。」(p44-45)

つまり、政府が財源を支出して管理する社会的共通資本からのサービスについて、ある人々は自分のニーズに沿ったサービスが十分に得られない、という状況が起こり得るわけです。

そんなときに人々はどうするか。

「家計が欲する(準)公共財を政府が供給しない場合、または政府が供給してもその内容(質)などに満足できない場合、同様の選好をもつ人たちが組織をつくって自ら供給することがあります。この組織がNPOです(Weisbrod[1975])。」(p45)

つまり、NPOをつくるというわけです。

通常、税金の使い道を政治的なプロセスによって決定することで、社会的共通資本の維持や管理に、それぞれどれくらいのリソース(人やお金)を投入するかが決まります。

しかし、そのプロセスではカバーできないニーズに応えたい場合や、そもそも何かの公共財が必要と分かっていても政治的な合意が形成できない場合があります。

そんな場合には、小回りの利くNPOが政府からの助成や寄付金などで公共財を提供する、と言われています。


寄付を、緊急的な人道ニーズに応えるための寄付(Charity)と、将来のより良い社会のための投資としての寄付(Philanthropy)に分けて考える(Frumkin, 2008)と、Philanthropy的な寄付は社会的共通資本を維持・管理するための財源として期待できるのではないだろうか、というのが私の考えていることです。

CharityとPhilanthropyを分けて考えることにメリットがあるのか、については最近公開いただいた日本NPO学会のディスカッションペーパーで詳しく論じていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください(英語です)。

https://janpora.org/dparchive/pdf/20220624J.pdf


さて、ここからは、今回のシンポジウムで私が楽しみにしている各講演をされる先生方について私の認識を記していきたいと思います。


基調講演で紹介される「協生農法」

基調講演をされる舩橋真俊さんは、協生農法という革新的な技術を研究されています。

協生農法については、下記の記事が一般の人や私のような専門外の者にとってわかりやすかったです。

https://ideasforgood.jp/2021/06/23/syneco-culture/

私はこちらの協生農法実践マニュアルを最初に読んだのですが、衝撃を受けました。

拡張(Augumented)生態系という概念についてもお話をされるとのこと。

当日が、大変楽しみです。

なお、下記の動画はブルキナファソでのプロジェクトが描かれており、かなりインパクトがあります。わずか1年で、砂漠が密林になっています。

私は学生時代にウガンダに滞在していたので、非常に強い衝撃を受けました。


砂漠に住む飢えた人に食料や水を供給するために行う寄付がCharityとして分類できるでしょう。

一方、砂漠における協生農法を寄付で支援する場合、それはPhilanthropyだと言えます。

そして、これはその地域に必要な(社会的共通資本としての)自然資本を整備する活動に他ならないと言えるでしょう。


宇沢弘文先生と小島寛之先生のこと

私にとってはお二方とも書籍や論文を通じてしか存じ上げないのですが、社会的共通資本の理論を提唱された宇沢弘文先生についての『宇沢弘文の数学』などの書籍がある小島先生が今回のシンポジウムに登壇され、「経済学からみる社会的共通資本」と題して講演されます。


この『宇沢弘文の数学』という本は、本当に刺激的であるだけでなく、感動する本です。

小島先生が数学を学び、一度社会人になられ、その後市民講座のゼミナールによって宇沢先生と出会い、経済学にほれ込んで研究者となったプロセスは、特に私のように社会人大学院生をしている者にとっては非常に励まされる内容でした。

第6章では「二一世紀の宇沢理論―小野理論・帰納的ゲーム理論・選好の内生化」と題して、宇沢先生の理論の進化を展望されています。

お金の保有そのものから得る効用

小野理論は小野善康先生の理論のことを指しており、

「お金などの資産保有にも効用がある」(p176)

と仮定していること、また

「その追加的な効用が『非飽和』である、という条件」(p179)

が特徴的だといいます。これを小島先生は、わかりやすく

「日常的表現で言えば、『消費には飽きがくるが、カネには飽きがこない』ということだ」(p179)

と記述されていますが、これは寄付の研究を行う者としては非常に興味深い話です。

資産保有による効用と、それを寄付によって手放して社会貢献することで得られる効用。

この2つを比べたときに、後者が大きくなるのはどのような条件下においてなのでしょうか?

興味は尽きません。


選好の内生性とマーケティング

また、もう1つ宇沢理論の進化の方向性として提示されている「選好の内生化」も、見逃せない点です。

「『選好の内生化』というのは、人々の認識や嗜好というものが、個人の内面に最初から存在し、確固として変化しないものではなく、社会的に醸成され変容するものとする考え方」(p204)だといいます。

経済モデルにおいて、選好は外生的に与えられるものとされていることが多いわけですが、マーケティング研究においては違います。

そもそもマーケティングは、消費者の選好を変化させることを目的としてなされる行為だと言えます。

マーケティングは、現代の大量生産・大量消費社会を形成したという功罪がある方法論であり、宇沢先生がご存命ならば眉を顰められるかもしれませんが、私は小島先生の書籍を読んで、社会的共通資本の研究にマーケティング研究者が関わることの可能性を見出したところです。

(ちなみに小島先生の『使える!経済学の考え方―みんなをより幸せにするための論理』もおすすめです)


広井良典先生とポストコロナ社会

次に登壇される広井先生は、『コミュニティを問い直す』などの書籍で存じ上げていた先生です。

最近では、日立コンサルティングとの共同研究で、AIを活用して2050年に向けて2万通りのシミュレーションを行った研究が衝撃的なものでした。

http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/20210226_hiroi/

これを踏まえると、日本社会の未来の持続可能性にとっては、「都市・地方共存シナリオ」が最も望ましいようです。

そこに至るには、「働き方や人生のデザインを含む包括的な意味での『分散型』社会に向けた対応」が重要になるとのこと。

http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2021/02/439bd40da9a48fd5f27df24f5c55bb4e.pdf

この研究によると、2024年までに、人口の「集中緩和・人口改善」に向かうための政策を実行するべきとのことです。

広井先生は「ポスト資本主義のビジョン」と題して講演されるため、上記研究に触れられるかどうかは分かりませんが、いずれにせよお話をお伺いするのが非常に楽しみです。


寄付と利他行動の未来

以上をふまえると、

税金の使い道を、東京のごく一部の人々で中央集権的に決めて、社会的共通資本を整備する

という考え方だけではなく、

各自治体やコミュニティが分散的に資金を確保して、社会的共通資本を整備する

ということが重要なのでは、と思う次第です。

『寄付白書2021』に執筆協力させていただいた際に、新型コロナウイルス感染症の流行下で、1000万円以上・1億円以上の寄付が寄せられたという報道が多く見られた非営利組織は、

「自治体」

であったことが分かりました。

https://jfra.jp/wp/wp-content/uploads/2021/11/GJ2021_infographic.pdf

日本の個人金融資産は2000兆円あります。

日本の寄付市場は現在のところ1.2兆円/年(名目GDP比0.23%)という規模ですが、もしも英国並みの名目GDP比(0.47%)になるならば、これは倍増してもおかしくありません。

米国並みになるとすれば、6~7倍くらいの成長余地があるということになります。

日本の税収が67兆円/年だということを考えると、無視できない規模です。


当日は、こうした寄付の重要性を踏まえて、これからの社会にとって寄付が果たすべき役割や、利他行動をどう考えていくべきなのか、を考えたいと思います。


気づけば、本ブログ史上、最も長い記事になったかもしれません…。

ここまでお読みくださった皆様、ありがとうございました。


7/23のシンポジウム、下記ページから申し込みができます。ぜひご覧ください。

https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/event/2022-07-01-0

2022年7月4日月曜日

スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー日本版vol.2出版記念イベントDay3「寄付のオモテとウラについて語ろう」

今度、スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー日本版(SSIR-J)のイベントにパネリストのひとりとして登壇させていただくことになりました。

Day3 2022年7月14日(木)19:00-20:30

https://ssir-j-vol2.peatix.com/

SSIR-Jのレイモンド・ウォングさんがファシリテートくださり、日本ファンドレイジング協会の大石さん、WWFジャパンの外岡さんと3人で話すということで、大変楽しみにしています。


お題は、「寄付のオモテとウラについて語ろう」。


オモテとウラ、とは寄付の場合、何でしょうか。


私にとっては、4つくらい「オモテ」(よく社会で観察される面)と「ウラ」(あまり知られていない面)があるかなと思いました。


・寄付をする側と、受ける側

 寄付をする側(寄付者や寄付行動)の研究は多く、受ける側(ファンドレイザーやファンドレイジング活動)についての研究は少ない印象があります。私は主に後者、ウラの方に力点を置いて研究をしています。


・寄付募集についての実務と、研究

 寄付募集については実務家の方々のノウハウが広く流通している反面、学術研究に基づく知見はまだあまり流通していないように思います。なので、主に後者、ウラの方について情報発信をしようと考えてきました。


・Charityの寄付文化と、Philanthopyの寄付文化

 そして日本では、災害時や人道的な危機のときに盛り上がるCharity(緊急的な人道ニーズへの支援)の寄付文化はあるとしても、長期的なビジョン達成のために様々なアプローチで取り組む組織に対するPhilanthopy(より良い社会を目指すための多様な支援)の寄付文化はまだ発展途上だと考えています。私は勤務先もどちらかといえば後者、関心としても後者なので、ウラの方についてよく考えています。


・寄付の望ましい面と、望ましくない面

 寄付も他の様々な社会的行為と同様に、望ましい面があればそうでない面もあります。後者については、スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー日本版vol.2(下記)の「寄付金のダークサイドについて語ろう」という記事で議論されていますので、よければぜひご覧ください。



ちなみに、SSIR-Jの編集長の中嶋さんという方は、『ワーク・シフト』という本を手掛けられた方です。

私もそうですが、「読んだ!」という方もおられるのではないでしょうか。2012年発行の書籍ですが、その当時に描かれた方向に社会が変わってきていることに、多くの人が驚くと思います。


このような先見の明に満ちた書籍が存在することを知ると、やっぱりおもしろいですよね。

よく社会を観察し、研究していくことで、私たちもより精度の高い未来予測をしたり、その未来に対して何らかの影響を与えることができる、という希望を持てるように思います。

今回のイベントが、皆で「寄付の未来」を考えるきっかけになったらパネリストとしては望外の喜びです。

関係ないですが鴨川です。



2022年6月11日土曜日

JAAS第1回総会・キックオフミーティングのポスターセッションに登場します

日本科学振興協会(JAAS)は,「日本の科学を、 もっと元気に。」という趣旨で活動をされている団体です.

今回,JAASの第1回総会・キックオフミーティングが開かれるということで,ポスターセッションをする人を公募するということだったので応募したところ,採択いただきました.


演題:

日本の科学を「寄付」で元気に!

―寄付者・研究者に知ってほしい3つの寄付研究と日本の課題―


日時:2022年6月20日(月)14:30-16:30 ポスターセッション5の中のプログラムです.


参加費:無料


参加方法:フルオンラインです.下記をご参照ください.

https://jaas2022online-program.peatix.com/


抄録:

下記のp40に,今回の発表の抄録が掲載されています.

https://www2.aeplan.co.jp/jaas2022/wp-content/uploads/2022/06/abstracts220606.pdf

上記では改行がないので少しわかりづらいと思いますので,当日のお話のポイントをこのブログ記事にも掲載しておきます.

今回は,科学・学術研究に取り組む人や一般の寄付者の方(個人・法人・団体)に知ってほしい「寄付の価値」をご説明します.

次に,膨大な先行研究の中から,現場の意思決定やファンドレイジングにとって重要だと思われる,下記の3つの寄付研究を紹介します.

・Ask(寄付依頼)の力

・クラウディングアウト
(ここでは,寄付先団体に政府等の支援が行われた際,寄付が減ってしまうことを指します)

・寄付が管理費用に使われることに対する忌避感

そして,誰が寄付募集のコストを負担するのが良いのだろうか,寄付市場の質ってどうなのだろうか,といった話もすることになっています.(なぜこんなに詰め込んでしまったんでしょうね・・・)

寄付募集には,3K(カン・経験・カリスマ)も重要かもしれませんが,論理(Logic)と先行研究(Literature)に基づいて,レバレッジ(Leverage)の効く形で(3L)進めていけるとよいのではと思っています.


博士論文執筆中にこんな余裕があるわけない,と思っていたのですが,やはり日本の科学・学術研究にとって寄付が大切だ,というメッセージは出しておかなければならないという使命感で申し込ませていただいた次第です.


特に,大学ファンドレイジング関係者の皆様,よろしければぜひご参加ください.


関係ないですが5月連休中の図書館の写真。休みなく勉強してる学生の自転車で埋まっていました。

全国レガシーギフト協会「第14回遺贈寄付サロン」に登壇します

遺言書(ゆいごんしょ)による寄付を,遺贈(いぞう)と言います.

この遺贈について普及啓発を行っている全国レガシーギフト協会の「遺贈寄付サロン」という場に登壇することになりましたので,お知らせいたします.

演題:iPS財団のファンドレイジング~効果的な寄付募集、スムーズな遺贈寄付の受け入れのために~

講師:iPS財団 社会連携室の山本・渡邉が登壇します.

日時:2022年6月17日(金)※申し込み締切:6/16の12時だそうです.

場所:zoomでのオンライン開催

参加費・詳細:下記ページをご覧ください.

https://izoukifusalon14.peatix.com/view?fbclid=IwAR0a6tnt8rUS3_h8QQplOBLUc4tExdDPFkr-e7eJKm8HXxfFkdtMEo_zF4A


当日,私の方からは寄付募集・遺贈仲介に役立つ論文の解説も行います.

そのうちの1つは,下記論文を予定しています.

Cui, J., Pan, Q., Qian, Q., He, M., & Sun, Q. (2013). A multi-agent dynamic model based on different kinds of bequests. Physica A: Statistical Mechanics and Its Applications, 392(6), 1393–1397. https://doi.org/10.1016/j.physa.2012.11.021

「相続人1人への相続」と「全額をNPOへ遺贈」という2つの選択肢を用意し,前者を取る遺贈者の割合を変化させていくというシミュレーションによる研究です.

遺贈が社会に与える影響,特にその平等さに与えるインパクトを理解するのに有益だと考えます.相続人1人への相続が,社会における財産の格差を助長していくことがわかります.

統計力学という聞きなれない分野の雑誌に載っていた論文ですが,こういうシミュレーションに基づく研究もたいへん有益だなと思った次第です.


では,皆様にお会いできるのを楽しみにしております.


博士課程最終年度、指導教官や査読者の先生に揉まれながら過ごしています。


2022年4月5日火曜日

寄付と税制についての専門書がいまKindleで0円/ウクライナ関連の寄付によって他団体への寄付は減るのか

寄付と税制について専門的に勉強したい方へに最高に参考になるこちらの最新の洋書、Kindle版がなぜかいま(2022年4月5日現在)0円です。

キャンペーンなのでしょうか・・?

ともあれ、寄付・非営利組織・税制といったテーマに関心のある方には本当におすすめなのでブログでも掲載しました。

The Routledge Handbook of Taxation and Philanthropy


3月は実務も研究も大変忙しく、ブログを更新する時間が取れませんでしたので、4月でなんとか2本アップして、月に1本ペースを取り返したいところです。


ウクライナ関連のニュースがここ1か月くらいメディアを席巻しており、驚きと悲しみを抱きながら日々を送っている方も多いと思います。

私も現地の様子を注視しつつ、しかし自分の仕事をコツコツすることを目指そうと思っています。


非営利組織の方々はウクライナに関して緊急的な寄付募集キャンペーンを開始していたりして、本当に頭が下がります。

一方で、こんなつぶやきもTwitter上で見かけたりしました。

非営利組織が寄付をめぐって繰り広げる競争は、とてもおもしろいテーマだと思っていまして、上記の書籍のChapter18がそのテーマを扱っています。

例えば、

必ずしもパフォーマンスの高い寄付先団体に寄付が流れていくとは限らない

とか、

民間企業の市場と違って価格競争が起きない

とか、

税制による後押しによってより効率的な選択を促せるのかどうか

といった、非常に重要な議論が展開されています。

寄付募集をめぐる「競争」を考える

競争戦略で有名なポーター先生は、最近の書籍で、フィランソロピーと競争について取り上げています。


寄付募集に携わっている友人知人を思い浮かべると、あまり競争を好まない人が多いのかも・・・と思ったりするのですが、この本の中では競争というものは非常にポジティブにとらえられており、競争があることで質の良い活動が世の中に提供されていく、ということが指摘されています。

(個人的にも、小さい頃から自分は「競争」と呼ばれるものであまり勝った記憶がなく、競争と言えば負けるもの、できれば避けたいもの、というイメージがあります…)

逆に言うと、寄付をめぐっての健全な競争が起きる環境をどうつくるか、が重要ということになるわけですが、これが非常に難しく、またホットなテーマだと思います。

「ウクライナへの寄付との競争が生まれることによって、他団体への寄付は減るのでしょうか?」

という点が気になるわけですが、先行研究では矛盾した結果が報告されており、実はこれはまだ答えがよくわかっていない問いのようです。

このテーマは、「Altruism Budget(利他的予算)は固定的なのか、可変的なのか?」という問いとして議論されています。

[1] L. K. Gee and J. Meer, “The Altruism Budget: Measuring and Encouraging Charitable Giving,” Natl. Bur. Econ. Res. Work. Pap. Ser., vol. No. 25938, 2019, doi: 10.3386/w25938. https://www.nber.org/papers/w25938


私はどちらかというとマーケティング・経営学の研究に携わっている上に、上記のとおり競争をうまく避けることの方に(性格的に)関心があるので、競争が質の向上を生み出すということを意識しつつではあるものの、

「緊急的な寄付と、長期的な寄付の両方に対して人々が関心を持ってくれるようにするにはどうしたらいいのだろうか」

「ある団体の寄付募集が、他の団体と競合する度合いを下げるためには、どうすればよいのか」

ということを、この機会に考えています。

いつもと同じように、仕事や研究ができることのありがたみを感じるこのごろです。

そして、戦争を防ぐための平時からの努力として、人文科学や教育がいかに大切かを痛感しています。

それぞれの場所で、コツコツがんばりましょう。

2022年2月20日日曜日

FRJ2022「数字で見る日本寄付市場の過去・現在・未来」の概要と,文献リスト

(2022年2月21日追記:当日のお話の概要を記載し,タイトルを少し変更しました)

FRJ2022(ファンドレイジング・ジャパン2022)でのセッション「数字で見る 日本寄付市場の過去・現在・未来~事例紹介:iPS財団のファンドレイジングを支える3つの考え方~」(2022年2月19日)にご参加くださった皆様,本当にありがとうございました.

当日は,前半がエニシフルコンサルティングさんのGOEN寄付データからの様々な情報,後半が事例としての私の勤務先のファンドレイジング活動の話でした.

このブログ記事では,私のお話(後半部分)の概要をご説明します.

私からは,これまでのファンドレイジング活動で自分が考えていた3つのポイントとして,

・先行研究を読む

・市場志向で考える

・制約を観察する

といった,少し抽象度の高い(その代わりおそらくは様々な組織に当てはまるであろう)話をさせていただきました.まとめとしては,
・事例(質的データ)
・寄付白書等の量的データ
・先行研究からの理論
・現場の状態の観察

を組み合わせて仮説(こういう行動をしたらこういう結果が出る)をつくり,
その行動をしてみて効果をみる

というような話をさせていただきました.

今こうして振り返ると,「そりゃ当たり前だろう・・・」「口で言うのは簡単だけど・・・」というような内容になっていてちょっと反省するのですが,2000年から寄付募集活動に携わっていて,毎年前進したいと思ってもがいていると,やはり凡事徹底に落ち着いてしまうのかなとも思います.


当日は,200人以上の方々にご参加いただき,大変ありがたく思いました.お声がけくださったエニシフルコンサルティングさんにも深く感謝申し上げます.

下記が,当日ご紹介していた論文や書籍のリストです.基本的には,研究を行うなかで出会った文献ですが,いずれも実務にとって非常に大きな示唆がありました.

これらの文献との出会いが,ファンドレイジングの研究や実務に取り組む方にとって,何かのヒントになれば幸いです.

各文献の詳細情報は末尾に記載するとして,さらっと紹介しようと思います.


1)Market orientation in the top 200 British charity organizations and its impact on their performance

イギリスの非営利組織が,どれくらい「市場志向」なのかを測定した研究です.直近5年くらいで,市場志向の団体が増えてきたとのこと.市場志向は分野によって強い弱いということはなかったそうですが,大きくて部門が多い団体よりは,小規模な団体が寄付市場志向であるということが観察されました.寄付市場志向は,実際の効果が出るまで時間がかかるようです.


2)Identity motives in charitable giving: Explanations for charity preferences from a global donor survey

117か国の1,849人が,どのように寄付先を選んでおり,そこにアイデンティティがどう関わっているかを調べた研究です.アイデンティティが寄付行動に影響するという研究は非常に多いのですが,日本でもそうなのか?というのはちょっと疑問でした.その点,このような国際的な調査は説得力があります.


3)Strategic Giving: The Art and Science of Philanthropy

この本は,主に米国の財団や篤志家など,寄付を行う側も意識して書かれた書籍で,寄付をするにあたって,より良い意思決定をするための手がかりが豊富に含まれています.CharityとPhilanthropyを分けて考える考え方があるというのもこの書籍に書かれていますが,本当はもっと紹介したい有意義な内容があります.

(Kindleで電子書籍版が出ていましたのでリンクを載せておきます)

https://amzn.to/3sY07j0


4)Theory of constraints

製造業の生産性改善に使われてきたTOC(制約理論)を紹介する論文です.TOCについては『ザ・ゴール』のマンガ版(下記)などがわかりやすいのでおすすめです.

https://amzn.to/3h3TmXq


5)Emerging philanthropy markets

マクロ経済やインフラの指標に基づいて,どの国に寄付市場の拡大余力があるかを調べるとともに,世界価値観調査の結果から,寄付に関する文化を予測しています.資本主義とプロテスタントの国は民間フィランソロピーが盛んであり,その次の候補は(日本を含む)儒教文化圏と資本主義経済だとしています.


6)Competitive Strategy: Techniques for Analyzing Industries and Competitors

マイケル・ポーターの古典的著作ですが,断片化市場について非常に切れ味の鋭い議論をしていて,ご紹介したいと考えました.


7)Look to Others Before You Leap: A Systematic Literature Review of Social Information Effects on Donation Amounts

寄付の金額に対するSocial information effect(他の人の行動についての情報に影響を受けること)についてのシステマティック・レビュー論文です.ポジティブな効果,ネガティブな効果の両方について,媒介要因を挙げて「なぜそうなるのか?」を説明してくれており,大変参考になりました.


Balabanis, G., Stables, R. E., & Phillips, H. C. (1997). Market orientation in the top 200 British charity organizations and its impact on their performance. European Journal of Marketing, 31(8), 583–603. https://doi.org/10.1108/03090569710176592

Chapman, C. M., Masser, B. M., & Louis, W. R. (2020). Identity motives in charitable giving: Explanations for charity preferences from a global donor survey. Psychology & Marketing, 1(15). https://doi.org/10.1002/mar.21362

Frumkin, P. (2008). Strategic Giving: The Art and Science of Philanthropy. University of Chicago Press. https://books.google.co.jp/books?id=Gv9ejrvJf7AC

Goldratt, E. M. (1990). Theory of constraints. North River Croton-on-Hudson.

Michon, R., & Tandon, A. (2012). Emerging philanthropy markets. International Journal of Nonprofit and Voluntary Sector Marketing, 17(September), 352–362. https://doi.org/10.1002/nvsm

Porter, M. E. (1980). Competitive Strategy: Techniques for Analyzing Industries and Competitors. Free Press. https://www.hbs.edu/faculty/Pages/item.aspx?num=195

van Teunenbroek, C., Bekkers, R., & Beersma, B. (2020). Look to Others Before You Leap: A Systematic Literature Review of Social Information Effects on Donation Amounts. Nonprofit and Voluntary Sector Quarterly, 49(1), 53–73. https://doi.org/10.1177/0899764019869537


<おしらせ>

おもしろいと思った論文はTwitterでも紹介しておりますので,ご参考ください.

https://twitter.com/fwatanabe


全然関係がないのですが、けん玉っていろんな遊び方があるんですね。子どもがハマっていて、最近よく遊んでいます。




2022年1月3日月曜日

『ポストコロナのマーケティング・ケーススタディ』で考えるファンドレイジング教育

 2022年の年始の休みは、論文執筆の合間に、こちらの書籍を読みました。


昨年、この書籍を出版されている碩学舎のケーススタディ教育方法に関する研修も受けさせていただいたのですが、マーケティング教育において、ケーススタディはやはり有効なのだと実感した次第です。

ポストコロナの時代におけるマーケティングはかなりの変化を求められており、それを考える上で非常に貴重な書籍だと思います。

マーケティングを教える立場の人が主な読者かもしれませんが、実務者が読んでもとても面白いのではと思いました。

ファンドレイジング教育を考える


さて、日本のファンドレイジング(寄付募集)においては、多くの団体で担当者の教育・研修に割くような予算・時間的余裕がないという現状があるはずです。

そのような中、中間支援組織が提供するセミナーや研修は非常に大きな役割を果たしていると思います。

他の団体の事例を聞くセミナーも良いのですが、そこから一歩進んで、「あなたがこの立場だったらどうするか?」というケースメソッドの要素を取り入れると、さらに教育効果が上がるのではないかと思ったところでした。

なぜケースメソッド的な教育が有効そうなのか


なぜかというと、ファンドレイジング活動は(マーケティングと同様に)十分な情報がない中で判断を行っていくことの連続だからです。

ファンドレイジングは投資活動という側面があり、希少なリソースである時間やお金、人員を、どの活動に振り向けるのか?という判断を非営利組織のマネージャーは日々していかなければなりません。

その判断力を磨くためには、

「実際に判断してみる」
「その結果を実感する」
「なぜそうなったか、もっと良い方法はなかったか振り返る」
「学びを活かして次の打ち手をどれにするか判断する」

というサイクルが必要なのだと思います。

しかし、これは言うは易しで、そんなサイクルを意識して回す余裕がある団体はほとんどないのでは、というのも、実務者としての偽らざる実感です。

実務から強制的に離れて行う研修やセミナー等によって時間を確保し、インプットをするというのは、非常によい方法だと思います。

日本で代表的な場としてはFRJ(ファンドレイジング・ジャパン)などで、日本のファンドレイジング教育に大きく貢献していると思います。


実務と事例セミナーの良いとこどりを


私は、寄付募集という活動に、

1)ボランティアとして
2)プロボノとして
3)有償のコンサルタント(あるいは兼業者)として
4)有給スタッフ、マネジメント職のスタッフとして

という4つの立場で関わってきたのですが、それぞれで多くの学びがある反面、

1)ではファンドレイジングの方向性の決定に関与するようなチャンスはほぼない

2)や3)では複数の団体を見ることができる一方、実施した結果を実感する機会が少ない

4)では1つの団体の事例にしか習熟できない

などの短所もあります。そして致命的なのは、上記の実務経験は、積んでいくのに大変な時間がかかり、習熟できる事例の数が少ないことです。

加えて、重要な判断の頻度が(その人の職位によりますが)低いということも言えます。

一方、日本のファンドレイジング教育では事例ベースのセミナーが多く行われている印象があり、これは短時間で多くの団体についての情報を収集できるメリットがあります。

事例ベースのセミナーは多くの団体に触れられるという意味で非常に効率的である反面、受講する側からすると

・自分の団体に適用できるのかどうかがよく分からない

・「判断」の練習にはならない

という短所があると考えています。

そこで、事例ベースのセミナーにおいては、受講者にまず背景情報を提供してから、

「これまでの情報を基にすると、X団体のファンドレイジングの強みと弱みはどこだと思いますか?」

「この状況で、あなたはAとBのいずれの打ち手を実施しますか?」

などと問いかけるのが良いのではないかと思うところです。

つまり、

・判断の経験は積めるが習熟できる事例数が少なく判断の頻度が低い「実務」

と

・多数の事例に触れることができるが判断経験にはならない「事例セミナー」

の良いとこどりを、ケースメソッド的な要素を取り入れたセミナーで実現しようというアイデアです。

ここ2年くらい、セミナー等に登壇する際には、「事例だけでなくその背後にある理論を説明する」ということを心掛けてきたのですが、それに加えて、2022年はケースメソッド的な要素も取り入れてみたいと考えています。

このブログの読者の方の中には、ファンドレイジング教育に携わっている方も多いと思うので、既にこのような方法を取り入れている方がおられたら、facebookページやTwitterで教えていただきたいと思います。



また、まだ取り入れていない方は、ぜひ一緒にやってみませんか?と呼び掛けたいところです。

今年も、月に1回は更新していきたいと思いますので、本ブログをどうぞよろしくお願いいたします。



ファンドレイジング・アクションリサーチ研究会のオリエンテーションについて

 非営利組織における、ファンドレイジング(寄付募集)の研究をしております渡邉文隆と申します。 このたび、日本パブリックリレーションズ学会の研究会のひとつとして、ファンドレイジング・アクションリサーチ研究会というものを開催します。 これは、ファンドレイジング活動の改善と、論文執筆に...