Tuesday, 27 October 2020

研究・イノベーション学会での発表の内容と参考資料

11月1日の夜に予定されている研究・イノベーション学会での「大学ファンドレイジングを考える」というセッションについて、スライド資料を作っています。

後日、完成版をこちらのページにアップする予定です。

今回は、「教育・研究への寄付募集」についてなのですが、

・小さなチームでファンドレイジングをするには?

・規則等で「できない手法」があるときにはどうする?

・大学ファンドレイジングに効果的だった取り組みとは

・大学本部と部局が、寄付募集で競合するのはどう考えたらよいか

「途上国の子どもの命を救う寄付」と大学への寄付はどう違うのか

・大学への支援は「国がすべきこと」なのでは?政府の資金があれば寄付は不要では?という意見にどう対応するか

・大学は、OBOGでない人から寄付を募るにはどうしたら良いのか?

といった話題を取り上げる予定です。

これらに絶対的な回答を出しているというわけではありませんが、下記に挙げたような既存研究を交えて、これまで考えてきたことを共有しようと思います。

最後には、「大学は、社会からの支援とどう向き合っていけばよいのか」ということを考えます。

これは、これから多くの方々と考えていきたいテーマです。


まだお申し込みを受け付けています。
オンラインで、無料ですのでよければご参加ください。

お申込みページ



<英語論文>

Aaker, J. L., & Akutsu, S. (2009). Why do people give? The role of identity in giving. 
        Journal of Consumer Psychology, 19(3), 267–270. 
   https://doi.org/https://doi.org/10.1016/j.jcps.2009.05.010

Andreoni, J. (1989). Giving with Impure Altruism: Applications to Charity and Ricardian Equivalence. Journal of Political Economy, 97(6), 1447–1458. http://www.jstor.org/stable/1833247

Andreoni, J. (1990). Impure Altruism and Donations to Public Goods: A Theory of Warm-Glow Giving. The Economic Journal, 100(401), 464–477. https://doi.org/10.2307/2234133

Anisman-Razin, M., & Levontin, L. (2019). Prosocial Behavior Reframed: How Consumer Mindsets Shape Dependency-Oriented versus Autonomy-Oriented Helping. Journal of the Association for Consumer Research, 5(1), 95–105. https://doi.org/10.1086/706505

Arnett, D. B., German, S. D., & Hunt, S. D. (2003). The Identity Salience Model of Relationship Marketing Success: The Case of Nonprofit Marketing. Journal of Marketing, 67(2), 89–105. http://10.0.5.229/jmkg.67.2.89.18614

Bennett, R. (2003). Factors underlying the inclination to donate to particular types of charity. International Journal of Nonprofit and Voluntary Sector Marketing, 8(1), 12–29. https://doi.org/10.1002/nvsm.198

Chapman, C. M., Masser, B. M., & Louis, W. R. (2020). Identity motives in charitable giving: Explanations for charity preferences from a global donor survey. Psychology & Marketing, 1(15). https://doi.org/10.1002/mar.21362

Ein-Gar, D., & Levontin, L. (2013). Giving from a distance: Putting the charitable organization at the center of the donation appeal. Journal of Consumer Psychology, 23(2), 197–211. https://doi.org/10.1016/j.jcps.2012.09.002

Fiennes, C. (2017). We need a science of philanthropy. Nature, 546(7657), 187.

Hager, M. A., & Hedberg, E. C. (2016). Institutional Trust, Sector Confidence, and Charitable Giving. Journal of Nonprofit & Public Sector Marketing, 28(2), 164–184. https://doi.org/10.1080/10495142.2015.1011508

Khodakarami, F., Petersen, J. A., & Venkatesan, R. (2015). Developing Donor Relationships: The Role of the Breadth of Giving. Journal of Marketing, 79(4), 77–93. https://doi.org/10.1509/jm.14.0351

Petrova, M., Perez-Truglia, R., Simonov, A., & Yildirim, P. (2020). Are Political and Charitable Giving Substitutes? Evidence from the United States. National Bureau of Economic Research.

Reyniers, D., & Bhalla, R. (2013). Reluctant altruism and peer pressure in charitable giving. Judgment and Decision Making, 8(1), 7–15.

Taniguchi, H., & Marshall, G. (2014). The Effects of Social Trust and Institutional Trust on Formal Volunteering and Charitable Giving in Japan. Voluntas: International Journal of Voluntary & Nonprofit Organizations, 25(1), 150–175. http://10.0.3.239/s11266-012-9328-3

Yörük, B. K. (2013). The impact of charitable subsidies on religious giving and attendance: Evidence from panel data. Review of Economics and Statistics, 95(5), 1708–1721. https://doi.org/10.1162/REST_a_00341


<日本語論文>

岩田憲治. (2011). 補助金支給は寄付金を増やすか ―NPO のクラウディング・インと国際比較―.
Japan NPO Research Association Discussion Papers.


<日本語書籍>

吉川徹(2018)『日本の分断 切り離される非大卒若者(レッグス)たち』光文社


<インターネット上の資料>

文部科学省(2015)「大学における専門的職員の活用の実態把握に関する調査研究」https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/itaku/1371456.htm 
2020年9月5日アクセス

文部科学省(2020) 「我が国の大学における寄附金獲得に向けた課題に係る調査研究」https://www.mext.go.jp/content/20200721-mxt_gaigakuc3-000008906_1.pdf 
2020年10月25日アクセス

Goldratt Japan & TOC CLUB Japan(2019)『iPS細胞研究所のボトルネックは何か?』https://www.tocclub.net/20190704_ips.html 2020年10月25日アクセス



関係ないのですが最近の鴨川です。

Saturday, 17 October 2020

研究・イノベーション学会「大学ファンドレイジングを考える」(参加無料・オンライン開催)

研究・イノベーション学会の

企画セッション「大学ファンドレイジングを考える」

に登壇させていただくことになりました。

11月1日(日)18時から、参加無料でオンライン開催です。

学会の会員でない方も参加できるセッションになっています。

お申込みフォームは下記URLです。

https://ws.formzu.net/fgen/S82282970/


セッションのページは「大学を取り巻く環境は厳しい。」という言葉から始まっていますが、私はこの7年くらい、大学(いまは関連法人)で勤務してきて、寄付者の方々に、大いに励まされてきました。

寄付者の方々のご厚意には、どれだけ感謝してもし足りないくらいです。そして、多くの大学・研究機関でも、同じように寄付者の方々と組織をつなぐ役割を果たすファンドレイザーが活躍していくべきだと考えております。


日本の大学や研究機関が、寄付者の方の励ましやご支援をお借りして今の厳しい状況を変えていくには、どんな打ち手が必要なのだろうか?

その先に、大学・研究機関だからこそできる社会への貢献を実現するには、どうしたら良いのか?

支援者と大学の接点という重責をになうファンドレイザーは、何を頼りにして日々の仕事に取り組んでいけばいいのか?

これまでの寄付研究を実務に応用していくうえで、何が重要なポイントなのか?


そんなことを考えつつ、準備を進めております。

よければぜひご参加ください。

これを機に、日本の大学や研究機関におけるファンドレイジングの研究やその社会実装が進展することを祈念しております。

寄付研究に関心をもって下さった方は、ぜひ下記のような書籍も、一緒に読んでいきましょう!


「寄付を科学的に考えるための書籍リスト」

https://watanabefumitaka.blogspot.com/p/blog-page_12.html

最近行った大徳寺です。一滴が大海につながることを表現しているそうです。できることなら、自分も大海につながるような発表をしたいものです。

Sunday, 11 October 2020

寄付に関する社会心理学実験の最高におもしろい!論文を、3つご紹介

 Journal of Experimental Social Psychologyにどんな寄付関連の論文が出ているかな・・・と調べていたら、あまりにもおもしろかったので、それぞれの論文の概要から一言だけでもご紹介したいと思います。

どれもこれも、タイトルからしておもしろそうな論文ばかりですよね・・・!


実務者の方や寄付者の方には念のための注意なのですが、こうした研究は決して、普遍的にそれが当てはまるということを示しているわけではなく、「ある条件のもとで実験を設計してみたときに、被験者となった人々がそのような傾向を示した」ということを示しているものです。この記事も、絶対にこうだ、と断言するための記事では全くありません。「こんなおもしろい研究があるよ」という紹介ですので、ご理解ください。



1)

Black, J. F., & Davidai, S. (2020). Do rich people “deserve” to be rich? Charitable giving, internal attributions of wealth, and judgments of economic deservingness. Journal of Experimental Social Psychology, 90, 104011. https://doi.org/https://doi.org/10.1016/j.jesp.2020.104011

「お金のある人が寄付をすればするほど、人々は『あの人はお金を持つに値する人だ』と感じる傾向がある」という研究。

人にどう思われるか、も大切でしょうけれども、資産をもっている人自身が「自分は資産を持つに値する人だ」と感じることができるとしたら、それは心の平安につながりそうな気がしますね。


2)

Greitemeyer, T., & Sagioglou, C. (2018). When positive ends tarnish the means: The morality of nonprofit more than of for-profit organizations is tainted by the use of compliance techniques. Journal of Experimental Social Psychology76, 67–75. https://doi.org/https://doi.org/10.1016/j.jesp.2017.12.007


「企業よりも非営利組織の方が、巧みな営業手法を駆使することについて責められがち」という研究です。

実は私も、某国際協力団体のface-to-faceの寄付営業を東京駅の地下でされたときに、そのやり方が巧みかつ圧迫的だったので、一気にその団体を嫌いになった、という経験があります・・・。これが企業からの同様の手法でのアプローチだったなら、そこまで嫌いにならなかったかもしれないなと思います。


3)

Lin, S. C., Schaumberg, R. L., & Reich, T. (2016). Sidestepping the rock and the hard place: The private avoidance of prosocial requests. Journal of Experimental Social Psychology, 64, 35–40. https://doi.org/https://doi.org/10.1016/j.jesp.2016.01.011

「人々は、自分の匿名性が確保されている状態であっても、(寄付依頼等の)向社会的な依頼を受けるのを避ける」という研究です。

ファンドレイジング教育の世界では「寄付を依頼することが大事。社会を変える活動に人々を巻き込んでいこう」というような形で寄付依頼への正当化がなされるケースも見られますが、寄付依頼を受けるというのは(特定の相手へのパーソナルな依頼ではない場合でも)受ける側に心理的な負担をかけることなんだな、と思います。


まだまだたくさんあるのですが、本業の仕事、すすめなければいけない研究の傍らなのでこれくらいで今日は終わりたいと思います。


冒頭で、こうした研究が絶対的にいつでも当てはまるんだ!ということではない旨を記載しました。


むしろ、私のような実務者・研究者を兼務している者の役目としては、「それぞれの研究成果がどんな条件下ならば実務で再現する可能性が高いのか」を考え、発信したり実践したりすることだと理解しています。

そのような役割を果たすまでには全然至っていませんし、世の中は暗い話題も多い中ですが、実務と研究の架け橋になるべく、コツコツがんばろうと思います。



最後に1つ宣伝です。私の勤務先のiPS財団で、寄付募集を担当する職員(正職員)を募集しています。

ご興味を持ってくださった方は、ぜひ下記ページの「社会連携室」の求人をご覧ください!


https://www.cira-foundation.or.jp/j/recruitment-ja/index.html

Friday, 25 September 2020

寄付を深く考えなければならないと思った2本の記事と、ひとつの希望について

ガーディアンに、超富裕層のフィランソロピー活動に対する批判的な書籍の紹介記事があったのでご紹介します。

(本当に長いです)

https://www.theguardian.com/society/2020/sep/08/how-philanthropy-benefits-the-super-rich

私が読んでみて印象に残った点としては、

・Philanthropist(慈善家)が増えている

・こうした人々は、必ずしも困窮している人々のための活動に寄付するわけではない

・超巨額の寄付が、超富裕層の思い描く良い(=必ずしも他の多くの人にとっても同様に良いとは限らない)社会のための活動に流れ込む

・超巨額の寄付による社会への介入は、時として民主主義を脅かす存在になる

・ある種の非営利活動については、寄付控除をなくすとか、富裕層により高い税金を課すなどの対応が必要ではないか

といったものでした。
(短時間でざっと読んだ限りの情報ですので、ざっくりしていることをご容赦ください)


そして、この同じ本をきっかけにして、英国ケント大学のBeth Breeze先生が(非営利セクターを擁護する形で)論じている記事がありましたので、同様に紹介します。

https://www.beaconcollaborative.org.uk/news/talk-differently-about-philanthropy/

私が読んでみて印象に残ったのは、

・困窮している人への支援以外にも、望ましい社会にとって必要な寄付はある(村のホール運営、ボーイ/ガールスカウト、アマチュアスポーツ団体、等)

・寄付者は多様であり、巨額の富を使って自分にとって利益になる社会をつくろうという人々ばかりではない。むしろ、そのような動機は寄付のなかでは主要な動機ではない

・寄付者をバッシングする傾向は、寄付者からの恩恵を受ける人々を間接的に傷つけることになる

といった点でした。


Philanthropyは、「それぞれが望む社会に向けての寄付」だといわれています。

charityは、「困窮している人のための寄付」だいわれています。


日本にいると「ほとんど同じ意味じゃないか」と思えるかもしれませんが、もしも超富裕層のphilanthropistが、自分の望む社会(それは必ずしも多くの人にとって同様に望ましいとは限らないわけですが)に向けて巨額の資金を寄付として使い始めたら、それは民主主義を脅かす存在になる、という議論になっているわけです。


同様に、小口の寄付を莫大に束ねて大きな事業を行う非営利組織は、寄付者が納得しさえしていて法律さえ守っていれば、どんな事業でも行って良いでしょうか?


このような問いも、必然的に生まれてきます。


日本ではまだ、このような問いは切実なものになっていないかもしれませんが、主に日本で活動するファンドレイザーとして、自分は、こういう問いを今から考えておきたいと思います。


人々の善意が、社会の断絶ではなく、社会の能力―様々な状況に置かれた人を取り残さない、包摂する能力―を高めることにつながるように、ファンドレザーとして何ができるのかを考える必要があると感じています。


その意味で、寄付者に対してアドバイスをする組織が立ち上がったというニュースは、とてもうれしいものでした。

https://kifutant.jp/

組織に所属するファンドレザーは、その組織のミッションの下に働く存在であり、寄付者に対して中立的なアドバイスはしにくい構造があるからです。

寄付が社会をゆがめるかもしれない、という懸念が呈されているなかで、ひとつの希望だと思いました。


私は、ファンドレイジングの実務者として、また研究者として、「寄付者にとって何が良いことなのか、幸せなことなのか」を考えているのですが、それはつまるところ、

寄付者が社会に本当に貢献するとはどういうことなのか?

これからの社会は、どうあるべきなのか?

を考えていくということにほかならないのだと思います。


***

いろいろで時間がないのですが、これは書かねば!と思いましてブログ記事にしてみました。

厳密な議論が全然できていない気がするのですが、何かのコミュニケーションのきっかけになれば、と思ってインターネットの海に流そうと思います。


<おしらせ>
このブログでは下記のとおり、Facebookページ・Twitterで更新情報を発信しています。

がんばっても週1回くらいの発信ですが、よろしければぜひ何かの方法でつながってください。

本ブログの読者の方々と一緒に学んでいけることを楽しみにしております・・・!



ファンドレイザーの方のためのおすすめ書籍です

寄付を科学的に考えるための書籍リストです

社会人で博士を目指す方へのおすすめ書籍です

関係ないのですが実家のネコです。

Tuesday, 15 September 2020

RA協議会第6回年次大会で発表:大学の研究環境改善の好循環を回すために

 RA協議会第6回年次大会で、お話をさせていただく機会を頂戴しました。

http://www.rman.jp/meetings2020/I-1.pdf

このページには、主な内容、スライド、参考文献を掲載しています。

博士後期課程に入ってから初めての、研究に関連するプレゼンテーションでした。

入念なご準備と素晴らしいファシリテートをしていただいた信州大学の小林先生・三宅先生、参加くださって活発なご質問をいただいた方々に、御礼申し上げます。

私の父は、青森県の弘前大学で教員をしていたのですが、こうした発表やいくつかの大学でのファンドレイジングのお手伝いを通じて、日本の大学の未来に少しでも貢献できれば、と考えております。


<主な内容>

主な内容としては、下記のようなものでした。

・日本の大学の研究環境改善の取り組みは、体制不備、活動低調、資金制約の膠着状態に陥りがち

・日本の大学への寄付は、1)大学全体への寄付、2)部局への寄付、3)研究室・プロジェクトへの寄付 に分けられる。今回は、2)について議論する

・大学において多く配置されているのはURA。「研究のわかる人」として研究環境全体を企画したり、体制整備に向けて動いてほしい(広報・基金の専門職員は、URAよりも配置されていることがはるかに少ない)

・広報や寄付募集を考える際には、大学図書館で先行研究にあたるのが良い

・例えば寄付研究では、アイデンティティの重要性、寄付依頼の重要性、寄付における意思決定プロセス、寄付者が幸福を感じてもらえる条件などが部分的にわかってきている

・「寄付してよかった」と思っていただくための寄付金の有効活用にも、URAは貢献できる

・URA、広報、寄付募集の3つの専門性を組み合わせ、研究環境改善の好循環を回していきたい


<スライド>



<参考文献:英文資料>

Andreoni, J., & Rao, J. M. (2011). The power of asking: How communication affects selfishness, empathy, and altruism. Journal of Public Economics, 95(7), 513–520. https://doi.org/https://doi.org/10.1016/j.jpubeco.2010.12.008

Andreoni, J., Rao, J. M., & Trachtman, H. (2017). Avoiding the Ask: A Field Experiment on Altruism, Empathy, and Charitable Giving. Journal of Political Economy, 125(3), 625–653. https://doi.org/10.1086/691703

Arnett, D. B., German, S. D., & Hunt, S. D. (2003). The Identity Salience Model of Relationship Marketing Success: The Case of Nonprofit Marketing. Journal of Marketing, 67(2), 89–105. http://10.0.5.229/jmkg.67.2.89.18614

Bekkers, R., & Wiepking, P. (2011). Who gives? A literature review of predictors of charitable giving Part One: Religion, education, age and socialisation. Voluntary Sector Review, 2(3), 337–365. https://doi.org/10.1332/204080511x6087712

Bennett, R. (2003). Factors underlying the inclination to donate to particular types of charity. International Journal of Nonprofit and Voluntary Sector Marketing, 8(1), 12–29. https://doi.org/10.1002/nvsm.198

Bjälkebring, P., Västfjäll, D., Dickert, S., & Slovic, P. (2016). Greater Emotional Gain from Giving in Older Adults: Age-Related Positivity Bias in Charitable Giving. In Frontiers in Psychology (Vol. 7, p. 846). https://www.frontiersin.org/article/10.3389/fpsyg.2016.00846

Bruttel, L., & Stolley, F. (2020). Getting a yes. An experiment on the power of asking. Journal of Behavioral and Experimental Economics, 86, 101550. https://doi.org/https://doi.org/10.1016/j.socec.2020.101550

Chapman, C. M., Louis, W. R., & Masser, B. M. (2018). Identifying (our) donors: Toward a social psychological understanding of charity selection in Australia. Psychology & Marketing, 35(12), 980–989. http://10.0.3.234/mar.21150

Cryder, C., & Loewenstein, G. (2011). The Critical Link Between Tangibility and Generosity. The Science of Giving: Experimental Approaches to the Study of Charity. https://doi.org/10.4324/9780203865972

Fajardo, T. M., Townsend, C., & Bolander, W. (2018). Toward an optimal donation solicitation: Evidence from the field of the differential influence of donor-related and organization-related information on donation choice and amount. Journal of Marketing, 82(2), 142–152. https://doi.org/10.1509/jm.15.0511

Fennis, B., Janssen, L., Vohs, K., & Article., J. D. served as editor and J. A. served as associate editor for this. (2009). Acts of Benevolence: A Limited-Resource Account of Compliance with Charitable Requests. Journal of Consumer Research, 35(6), 906–924. https://doi.org/10.1086/593291

Gneezy, U., Keenan, E. A., & Gneezy, A. (2014). Avoiding overhead aversion in charity. Science, 346(6209), 632 LP – 635. https://doi.org/10.1126/science.1253932

Goenka, S., & Van Osselaer, S. M. J. (2019). Charities Can Increase the Effectiveness of Donation Appeals by Using a Morally Congruent Positive Emotion. Journal of Consumer Research, 46(4), 774–790. https://doi.org/10.1093/jcr/ucz012

Goldratt-Ashlag, E. (2010). The layers of resistance-the buy-in process according to TOC. Theory of Constraints Handbook, 571–585.

Kessler, J. B., & Milkman, K. L. (2018). Identity in charitable giving. Management Science, 64(2). https://doi.org/10.1287/mnsc.2016.2582

Khodakarami, F., Petersen, J. A., & Venkatesan, R. (2015). Developing Donor Relationships: The Role of the Breadth of Giving. Journal of Marketing, 79(4), 77–93. https://doi.org/10.1509/jm.14.0351

Knowles, P., & Gomes, R. (2009). Building Relationships with Major-Gift Donors: A Major-Gift Decision-Making, Relationship-Building Model. Journal of Nonprofit & Public Sector Marketing, 21(4), 384–406. http://10.0.4.56/10495140802662580

Malhotra, N. K. (1984). Reflections on the Information Overload Paradigm in Consumer Decision Making. Journal of Consumer Research, 10(4), 436–440. https://doi.org/10.1086/208982

Martinez-Conde, S. (2016). Has Contemporary Academia Outgrown the Carl Sagan Effect? The Journal of Neuroscience: The Official Journal of the Society for Neuroscience, 36(7), 2077–2082. https://doi.org/10.1523/JNEUROSCI.0086-16.2016

Name-Correa, A. J., & Yildirim, H. (2013). A Theory of Charitable Fund-Raising with Costly Solicitations †. American Economic Review, 103(2), 1091. https://doi.org/10.1257/aer.103.2.1091

Piff, P. K., Kraus, M. W., Côté, S., Cheng, B. H., & Keltner, D. (2010). Having Less, Giving More: The Influence of Social Class on Prosocial Behavior. Journal of Personality and Social Psychology, 99(5), 771–784. https://doi.org/10.1037/a0020092

Reyniers, D., & Bhalla, R. (2013). Reluctant altruism and peer pressure in charitable giving. Judgment and Decision Making, 8(1), 7–15.

Rudd, M., Aaker, J., & Norton, M. I. (2014). Getting the most out of giving: Concretely framing a prosocial goal maximizes happiness. Journal of Experimental Social Psychology, 54, 11–24. https://doi.org/https://doi.org/10.1016/j.jesp.2014.04.002

Sargeant, A. (2001). Relationship Fundraising: How to Keep Donors Loyal. Nonprofit Management & Leadership, 12(2), 177. http://10.0.3.234/nml.12204

Sasaki, S. (2019). Majority size and conformity behavior in charitable giving: Field evidence from a donation-based crowdfunding platform in Japan. Journal of Economic Psychology, 70, 36–51. https://doi.org/https://doi.org/10.1016/j.joep.2018.10.011

Shang, J., Reed, A., & Croson, R. (2008). Identity Congruency Effects on Donations . In Journal of marketing research  (Vol. 45, Issue 3, pp. 351–361). American Marketing Association . https://doi.org/10.1509/jmkr.45.3.351

Toffler, A. (1970). Future Shock. Random House. https://books.google.co.jp/books?id=PJHi444dlRcC

van Teunenbroek, C., Bekkers, R., & Beersma, B. (2020). Look to Others Before You Leap: A Systematic Literature Review of Social Information Effects on Donation Amounts. Nonprofit and Voluntary Sector Quarterly, 49(1), 53–73. https://doi.org/10.1177/0899764019869537

Wiepking, P. (2007). The Philanthropic Poor: In Search of Explanations for the Relative Generosity of Lower Income Households. VOLUNTAS: International Journal of Voluntary and Nonprofit Organizations, 18(4), 339. https://doi.org/10.1007/s11266-007-9049-1

Wiepking, P., & Bekkers, R. (2012). Who gives? A literature review of predictors of charitable giving. Part Two: Gender, family composition and income. Voluntary Sector Review, 3(2), 217–245.

Winterich, K., Mittal, V., Ross Jr., W., & Article., J. D. served as editor and M. R. served as associate editor for this. (2009). Donation Behavior toward In-Groups and Out-Groups: The Role of Gender and Moral Identity. Journal of Consumer Research, 36(2), 199–214. https://doi.org/10.1086/596720

Worth, M. J. (2015). Fundraising: Principles and practice. SAGE Publications.

 

<参考文献:日本語資料>

・雑誌

保高隆之(2018).「情報過多時代の人々のメディア選択」『放送研究と調査』2018年12月号、p20


・書籍等

Levitt, T. (1979).『マーケティング発想法』ダイヤモンド社.

『認定ファンドレイザー必修研修テキスト』日本ファンドレイジング協会.


・インターネット上の資料

文部科学省(2015).「大学における専門的職員の活用の実態把握に関する調査研究」https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/itaku/1371456.htm 2020年9月5日アクセス

みずほ総合研究所(2018).「都道府県別の高齢化と個人金融資産の状況」
https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/urgency/report181213.pdf 
2020年9月6日アクセス

「仮説の論理構造」駆使し寄付金を5年で約4倍に」『ゴールドラット・ジャーナル』vol.007、2019年11月https://www.goldrattjournal.com/vol_007.html 
2020年9月17日アクセス  





Saturday, 1 August 2020

日本の大学のファンドレイジング(寄付募集)の参考資料リスト

大学の寄付募集にとって参考となる資料で、無料でインターネット上に公開されているものを備忘録として掲載していこうと思います。
随時更新していきます。

断片的なファイルがPDF形式で見つかり、全てのファイルが載っているページを苦労して見つけましたので、同じ苦労を他の方がされないように・・・と思います。


先導的大学改革推進委託事業調査研究報告書

「大学の資金調達・運用に関わる学内ルール・学内体制等の在り方に関する調査研究」

米国の大学におけるファンドレイジングの状況がかなり詳細に描かれていて、参考になります。

「大学における専門的職員の活用の実態把握に関する調査研究」

日本の国立大学では、寄付に関する専門的職員の配置は大学全体の20%程度であることがわかりました。

「我が国の大学における寄附金獲得に向けた課題に係る調査研究」

日本の大学・米国や英国の大学の経営陣にインタビューし、大学ファンドレイジングに必要な体制についてかなり踏み込んで調査しています。
大学のファンドレイジングのための組織づくりをする上では、必須の資料です。

東大-野村 大学経営ディスカッションペーパー

寄付者の声なども含めて調査されており、貴重な資料です。

日本ファンドレイジング協会 大学チャプターによる調査


高等教育機関(大学)における新型コロナウイルス感染症に関する寄付募集の状況

COVID-19の影響下で、文部科学省の関係機関リンク集のうち、「高等教育機関」に掲載されている「国立大学法人」「公立大学」「私立大学」合計790大学の寄付募集状況を調査したもの。歴史的価値のある資料となると思います。


研究へのクラウドファンディングに関する論文

日本における研究への寄付募集に関する論文は少ないですが、クラウドファンディングについては下記の論文があります。

網中 裕一, 吉岡(小林) 徹, 日本におけるクラウドファンディングを通じた科学研究支援の動機, 研究 技術 計画, 2020, 35 巻, 1 号, p. 77-95, 公開日 2020/05/13, Online ISSN 2432-7123, Print ISSN 0914-7020, https://doi.org/10.20801/jsrpim.35.1_77


大学・国研の外部化法人制度(仮称)について


オープンイノベーションや共同研究機能の強化のために大学や国立研究開発法人の一部を外部化する動きが進められています。
そのような法人が持ちうる機能のひとつとして、基金(エンダウメント)が挙げられています。

大学・国研の外部化法人制度(仮称)について
内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付参事官(法制度改革担当)
説明資料

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Sunday, 24 May 2020

高額寄付を阻む(少なくとも)10の要因

先日、著名YoutuberのHikakinさんがコロナウイルス感染症に対応する医療従事者のために自ら1億円を寄付して「コロナ医療支援基金」を設置、加えて寄付を呼び掛けはじめました。


まだ数日しか経っていませんが、大変な額の寄付が集まっています。



私は、ちょうど「高額寄付を阻む要因」について文献調査をしていたということもあって、今回の寄付にたいへん感銘を受けました。

個人による高額寄付を阻む要因は、後述のように非常にたくさんあります。それを乗り越えてこの寄付をされたHikakinさんに敬意を表したいと思います。

せっかくなので、今回のCOVID-19に対する寄付に限らず、高額寄付を阻む様々な要因について調べたことを記載しておこうと思います。

ざっと文献を読んだだけで少なくとも10個は挙げることができて、これは先が長いな・・・と思いつつあります。

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Major gift(高額寄付)を阻む要因


寄付はマーケティング上、「顧客」が価格を決める珍しい「商品」である。したがって、高額寄付(本稿では仮に100万円以上と考える)をしうる人々を同定(Prospect researchという)した上で関係を構築し、適切な金額の寄付を依頼することが寄付額を向上させる上で重要である旨が、米国の実務者向けのテキストでも強調されている。

一方で、高額寄付の検討者はいくつかの意思決定上の困難に直面していることが先行研究から見て取れる。本稿では、既存の寄付研究(主にマーケティング・行動経済学)から、高額寄付を阻む要因について概観する。

1.寄付の分類

本稿では、寄付募集についての実務者向けの米国のテキストを参考に、下記2つの分類を採用する。これは、下記がマーケティング上、異なる戦略を要すると思われることによる。

Charity
 困窮者への支援。現在の受益者のニーズに対する感情的・衝動的な寄付。震災の被災者支援など

Philanthropy
 より広い概念で、良い社会に向けた支援一般を指す。社会課題の原因を緩和・解決する、相対的に高額の、合理的検討を要する寄付を含む。


2.先行研究からみる高額寄付の阻害要因と対応の例


1)取引費用

 個人が高額寄付を行う際には、法人が寄付を行う場合と比べて相手方の非営利組織について情報を得る手段が限られており、ふさわしい寄付先を探索するコストがかかる。また、高額寄付には有価証券や不動産を含むことがあるが、こうした資産を現物で受け入れられる非営利組織が少なく、その換価処分にかかる手間が障害になることも想定される。遺贈寄付においても、遺贈寄付を行うためにかかる諸費用(弁護士・信託銀行等に支払う手数料)が心理的なネックになるだろう。また、遠隔地にある寄付先に高額寄付を行う際には、やはり現地を見たいと思うかもしれないが、交通費や時間などのコストが事前にかかってくる。こうした費用は取引費用(Transaction cost)としてとらえることができ、それを嫌って寄付検討者が高額寄付を決めきれない可能性がある。家族間の合意形成などにも相応のコミュニケーションコストがかかるが、これも取引費用ととらえることができる。

 これに対しては、高額寄付検討者に対して非営利組織が情報を積極的に開示すること、遺贈の諸費用の一部を非営利組織が負担できるスキームを構築すること、寄付検討者が周囲に説明・説得するための材料を提供することなどが対応策として考えられる。

2)「有効性感覚」の欠如

 政治的有効性感覚(Sense of political efficacy)とは「自らが行動することで政治に一定の影響を与えることができる」という信念を指す。『寄付白書2017』における分析によれば、この有無は、寄付・ボランティア行動率との間に強い関連性がある。日本では社会貢献意識を持つ者の割合がこの40年で大きく増加しているが、寄付・ボランティア参加率は同様の増加を見せておらず、政治的有効性感覚を高める教育が重要であるという。
 また、最近の研究[1]では、寄付の有効性に関する知覚(Perceived donation efficacy:PDE)が寄付に影響するとの報告がある。逆に言えば、寄付が有効に活用されて社会的な課題を解決するだろうという予測が立たなければ、高額寄付は発生しにくいことが想定される。

 これに対応するためには、高額寄付検討者に対して、その支援によって何が具体的に実行できるかを体験的に伝えること、寄付によって大きな望ましい影響が発生したという寄付者の体験を事例としてコンテンツ化することなどが対応として考えられる。

3)時間割引

 人間は、時間的にすぐに与えられる報酬ほどその価値を大きく感じ、逆に報酬の与えられる時点が遅くなると感じる価値が減少していくという性質を持っており、これを「時間割引(Time discounting)」という。Charityに比べてPhilanthropyは成果が出るまでに時間がかかる寄付であり、高額寄付の阻害要因になると考えられる。

 対応としては、寄付を活用した事業の成果が出るまでのプロセスの発信や、寄付直後に寄付者銘板を設置することで寄付者を顕彰することなどが考えられる。

4)限界効用の逓減

 寄付によって得られる満足度は金額とともに直線的には上昇せず、単位費用あたりの効用は逓減していく。したがって、100万円の寄付の2倍の満足を200万円の寄付で得られると感じない人が多いと思われる。

 対応としては、一定の金額を超えた寄付に対して心理的な特典(称号等)を付与することが考えられる。

5)情報の非対称性

 寄付先の事業が寄付者にとってなじみのないものである場合、寄付者と非営利組織の間の情報の非対称性が高くなる。その結果、質の高い事業を行う非営利組織もそれを反映した寄付額を受け取れなくなる。また、寄付者をプリンシパル、非営利組織をエージェントと考えた際には、寄付者が寄付の活用状況を監視するコストが高すぎるために、非営利組織が自己の利益を優先した行動をとる(寄付の使途を勝手に変更する、効率的な組織運営を怠る等。agency slackという)可能性を恐れて寄付に踏み切ることができない場合もあると想定される。

 対応としては、試しに一度寄付していただく(test givingという)ことを促進したり、ボランティア活動(委員への就任等)への参加によって組織の内情を理解してもらうとともに信頼を構築することで、情報の非対称性を低くすることが考えられる。Hikakin氏は今回の寄付に至るまでにすでにCOVID-19に関する対談などを複数しており、寄付先との間の情報の非対称性が低まったと思われる。

6)純粋な利他性を求める社会規範とその内面化

 日本におけるCOVID-19に対応するための寄付に関する記事で、日本人は、寄付が純粋な利他性に基づくべきだという社会規範を(他の先進国の国民よりも相対的に強く)持っているという指摘が東北学院大学の佐々木周作准教授によってなされている。
 こうした社会規範を内面化している個人は、「自分が満足するために行う寄付」を否定してしまい、これによって寄付行動が阻害されることも想定される。また、こうした社会規範が強い社会では、寄付行為を開示しても賞賛されることが少なく、寄付による名声からくる満足を寄付者が得られないことになる。

 対応としては、非営利組織の内部だけで寄付の事実を公表して構成員からの感謝の声を届けることや、ファンドレイザーが寄付検討者との対話のなかで内面化された社会規範を自覚してもらい、今回の寄付の検討においてそれを適用すべきかを考えてもらうことなどが考えられる。

7)参照点に関する情報の不足

 日本では富裕層がどれくらいの額を寄付すべきか、自己の資産のどの程度の割合を寄付するべきか、という基準になる参照点(Reference point)に触れる機会が少ないため、高額寄付の「相場」が分からない場合が多いと想定される。また、前述の6)により寄付者が自己の寄付行為を表明した場合に誹謗中傷されるならば、寄付者は自己の寄付行為を開示しないかもしれない。この場合、寄付検討者は参照点となる情報を得られないことになる。

 対応としては、寄付者特典が付与される高額寄付のラインを明示することによって参照点を提供すること、これまでの同様の属性の寄付者の平均的な寄付額などを情報として提供することなどが考えられる。

8)認知と仲介者の不足

 寄付検討者にその存在を知られていない非営利組織は、寄付先の候補になることはなく、高額寄付を受け取ることはできない。そのため、認知度の高い寄付先に高額寄付が集中する傾向がみられる。また、寄付先の比較サイト等の充実度も日本は米国に及ばない。

 これは、非営利組織側が認知度の向上に努力すること、その人に合った寄付先を紹介できる仲介者が活動を活発にすることで対応できる。COVID-19対応でいえば、三井住友信託銀行が開始した「新型コロナワクチン・治療薬開発寄付口座」は仲介者の不足を解消する試みだと位置づけることができる。

9)非営利組織側のキャパシティ不足

 高額寄付検討者は、小口寄付の検討者よりも、寄付をする際にスタッフの人柄などを考慮することが知られている。スタッフへの教育の不足により、問い合わせの電話やメールへの対応が適切になされない場合は、高額寄付の障害になりうる。また、非営利組織側の規模が小さく、大きな額の寄付を受け入れて活動を展開できるようなキャパシティがない場合も想定される。自分たちの組織の規模にとって不釣り合いな高額寄付を受けることは、組織運営上のリスクを伴う。

 これに対応するには、スタッフの教育に力を入れること、まずは小口寄付や助成金などの他の財源を使って組織キャパシティを高める、高額寄付の一部をキャパシティビルディングにあてさせてもらう等の方法が考えられる。

10)管理費用に対する忌避

 上記の9)のような場合でも、高額の寄付を分割交付し、一部の資金を活動そのものではなく管理費用(職員の採用活動と人件費、情報システムの構築、事務所の拡張など)にあてることができれば、非営利組織のキャパシティが向上してその後に交付される寄付金を有効に活用できるだろう。しかし、寄付検討者の管理費用への忌避(overhead aversion)が強い場合は、管理費用を自前の財源から支出できる非営利組織だけしかその高額寄付を受け入れられない、ということになる。

 これに対する対応としては、管理費用の重要性を説明することや、一部を管理費用にあてることを宣言した寄付の受け皿を設定することなどが考えられる。また、管理費用を忌避しない寄付者からの寄付を予め確保して管理費用にあてておくことによって、その後の寄付募集では寄付の全額を活動そのものにあてることができるというアドバイスを行っている論文[2]もある。



[1]Carroll, R., & Kachersky, L. (2019). Service fundraising and the role of perceived donation efficacy in individual charitable giving. Journal of Business Research, 99, 254–263. 

[2]Gneezy, U., Keenan, E. A., & Gneezy, A. (2014). Avoiding overhead aversion in charity. Science, 346(6209), 632-635.


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研究・イノベーション学会での発表の内容と参考資料

11月1日の夜に予定されている研究・イノベーション学会での「大学ファンドレイジングを考える」というセッションについて、スライド資料を作っています。 後日、完成版をこちらのページにアップする予定です。 今回は、「教育・研究への寄付募集」についてなのですが、 ・小さなチームでファンド...