Wednesday 21 April 2021

日本NPO学会で、ファンドレイジングに関する発表の機会をいただけることになりました

2021年6月19日、20日に開催される日本NPO学会第23回研究大会で、博士後期課程での寄付・ファンドレイジング研究について発表をさせていただけることになりました。

オンライン開催なので、全国どこからでも参加できます。


参加費も手ごろなので、NPO関係の方のみならず、大学や病院などでファンドレイジングを担当されている方も、よければご参加を検討くださるとありがたいです。

https://janpora23.peatix.com/

私は20日の13:30から、ファンドレイジングについてのセッションでお話をします。

https://janpora.org/meeting/pdf/prg23.pdf

演題は、

「CharityとPhilanthropyのそれぞれに特異的なファンドレイジング手法のアンブレラ・レビュー」

です。CharityとPhilanthropyにはどのような違いがあり、その違いを考慮したときに、どのようなファンドレイジング手法が妥当と考えられるのか、主に海外の寄付研究のアンブレラ・レビュー(レビュー論文のレビュー)を通じて検討した結果を説明します。

たとえば、災害時に募集される寄付は基本的にCharitable givingに分類できるものであり、緊急性の高い、困窮した人を助けるための寄付と言えます。

逆に、大学での研究のために募集される寄付は基本的にPhilanthropic givingに分類できるものであり、長期的な、より良い社会を目指すための寄付だと言えます。

この2つはいろいろな面で対照的でして、それぞれに適したファンドレイジング手法があるのではないか?ということをお話しする予定です。


アンブレラ・レビューとは

私は寄付・ファンドレイジングの研究をスタートする時に、とてもおもしろいレビュー論文を夢中になって読んだのですが、レビュー論文をまとめてくれるのがアンブレラ・レビューです。

アンブレラ・レビューの手法については、下記が詳しいです。医学分野で発達した手法ですが、膨大なシステマティック・レビューが発表されている近年、他の分野でも利用されるようになってきました。

https://journals.lww.com/ijebh/Fulltext/2015/09000/Summarizing_systematic_reviews__methodological.4.aspx

アンブレラ・レビューは、あるトピックについて、広い視点から概観することができるため、実務者にとっても有益であることが多いと考えます。

例えば下記では、レビュー論文のレビューを通じて、行動変容を目的としたソーシャル・マーケティングにおいて「セグメンテーション」があまり使われていない(さらなる活用の余地がある)、ということを指摘しています。

https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-981-10-1835-0_2



実務者にも学会は役立つ

イベントのオンライン開催が普通になったことで、学会という場が一気に実務者にとっても身近な場になったと思います。

自分の仕事について深く考えるために、関連する学会に参加するというのは素晴らしい選択肢だと思います。

実務者から社会人大学院生を目指す人が「自分にとってどの分野がおもしろいか」を考える上でも、学会参加はオススメです。



<おしらせ>

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ファンドレイザーの方のためのおすすめ書籍です

https://watanabefumitaka.blogspot.com/p/blog-page_16.html?m=1


寄付を科学的に考えるための書籍リストです

https://watanabefumitaka.blogspot.com/p/blog-page_12.html?m=1


社会人で博士を目指す方へのおすすめ書籍です

https://watanabefumitaka.blogspot.com/p/blog-page_18.html?m=1


関係ないですが、近所の公園の桜です。あっという間に春が過ぎていきますね。

『日本の寄付を科学する 利他のアカデミア入門』の執筆に参加しました

坂本治也先生編著『日本の寄付を科学する 利他のアカデミア入門』のうち、2つの章を執筆しました。 2023年12月8日が出版予定日です。11月27日現在、下記のとおりAmazonから現在予約できる状態になっています。 私は、 第10章 分野によって寄付行動に違いがあるのはなぜか? ...