今年のGWは出かけることもできず退屈しているファンドレイザーの方も多いと思うので、できるだけ1日1本、寄付に関する論文をTwitterアカウント@fwatanabeでツイートしていこうと思います。
さまざまな研究がまとめられたレビュー論文を中心としてご紹介します。
そして、紹介したもの、これから紹介するものは、こちらのブログ記事にまとめていこうと思います。
寄付型クラウドファンディングに関するレビュー論文
昨日投稿した1本目はこちら。純粋な寄付型クラウドファンディングの研究92件のシステマティックレビューです。こんなに研究が出てるんですね。
クラウドファンディングの成功に貢献する要因がすごくたくさん説明されています。
Salido-Andres, N., Rey-Garcia, M., Alvarez-Gonzalez, L.I. et al. Mapping the Field of Donation-Based Crowdfunding for Charitable Causes: Systematic Review and Conceptual Framework. Voluntas 32, 288–302 (2021). https://doi.org/10.1007/s11266-020-00213-w
たとえば、
-技術的な能力やリテラシー
-アクションをしてもらうためのウェブ最適化の能力
-過去のクラウドファンディング経験
-寄付依頼活動へや社会課題を効果的にフレーミングするといった活動への投資
-コミュニティをつくり、寄付者をエンパワーすること
-寄付の使い道の透明性を確保し、誠実に行動すること
-画像を用いて社会課題を説明し、共感を生み出すこと
-計画したことをタイミングを守って実施する能力
-他の人からの寄付の表示、著名人の推薦を入れること
-ウェブ上の雰囲気に注意を払うこと
などなど。
NPOのファンドレイジングへのソーシャルメディア活用
本日投稿したのはこちら。ソーシャルメディア活用に関するレビューです。
Di Lauro,
S., Tursunbayeva, A., & Antonelli, G. (2019). How nonprofit organizations
use social media for fundraising: A systematic literature review. International
Journal of Business and Management, 14(1), 7–11.
ソーシャルメディアを活用することの中心的なメリットの1つに「透明性と説明責任」が挙げられており、これは本質的な指摘だと思っています。
ソーシャルメディアと非営利組織はまだまだこれから
私がソーシャルメディアと非営利組織というテーマがおもしろい!と思ったのは、市川裕康さんに、下記の書籍について教えてもらったときだったと思います。(市川さん、当時は本当にありがとうございました)
Kanter, B.,
Fine, A., & Zuckerberg, R. (2010). The Networked Nonprofit: Connecting
with Social Media to Drive Change. Wiley.
https://books.google.co.jp/books?id=YFhF1LZ9VbwC
なんと11年前、まだ20代の頃の自分が作成した、当時の勉強会資料がまだslideshareに残っていました!
本の内容が、おおかたご理解いただけると思います。
かなり時代の先端を行っていた本だったと実感します。
https://www.slideshare.net/watanabefumitaka/the-networked-nonprofitbook-club-event-in-tokyo#
(自分はこのころ、デジタルハリウッド大学大学院の修士課程に在籍させてもらっていまして、ソーシャルメディアの活用をNPOで実践するためのプロボノ活動などもしていました。その参与観察が修士論文の一部になったのでした)
それからもう11年が経っていますが、上記のレビュー論文を読んで、まだまだこの分野には理論的な研究の余地がたくさんあると実感しました。