そもそも、寄付とは何なのでしょうか。
寄付の定義を辞書で引くと、
「金品を贈ること。特に、公共の団体や社寺などに金品などを贈ること。」
(三省堂大辞林)
とあります。
法的には、来栖三郎先生による
「贈与が社会公共のために為されるときは寄附と呼ばれる」
との見方もあります。
税務上でも定義がなされており、国税庁HPには交際費等と寄附金との区別として、
「寄附金とは、金銭、物品その他経済的利益の贈与又は無償の供与をいいます。一般的に寄附金、拠出金、見舞金などと呼ばれるものは寄附金に含まれます。ただし、これらの名義の支出であっても交際費等、広告宣伝費、福利厚生費などとされるものは寄附金から除かれます。」
という記述がみられます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5262.htm
また、寄付金控除の適用される認定NPOになるための指南を行う民間非営利団体のウェブサイトでは、
「任意性があること」(強制されたものでないこと)
「対価性のないこと」
を条件として挙げています。
http://www.npoweb.jp/2013/04/%E3%80%90%EF%BC%91%EF%BC%91%E3%80%91%E3%80%8C%E5%AF%84%E4%BB%98%E3%80%8D%E3%81%AE%E6%9D%A1%E4%BB%B6%E3%82%92%E6%AD%A3%E3%81%97%E3%81%8F%E7%90%86%E8%A7%A3%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%82/
おおまかに言えば、
1)社会公共のためであること
2)任意の行為であること
3)対価がないこと
の3要件が寄付が成立する要件とされているようです。
逆に言うと、これらの要件を満たさないような状況が発生したときに、その寄付の正当性が崩れるということになります。
社会公共のためと思って多くの人が寄付した団体が、実は反社会的な行為を行っていた場合には、大きなスキャンダルになるでしょう。
任意の行為であるはずが、実際は慣習的にほぼ強制的な支出である場合も法的な問題になります。
また、「ふるさと納税」の高額返礼品問題(下記リンク)は、「3割」を超える対価が提供されていることが問題視されている、ととらえることができます。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/file/report20180706.pdf
ファンドレイジングの「そもそも」を考える上で、寄付とは何か、という視点は持ち続けたいと思っています。
なお、「寄付」という表記と「寄附」という表記の両方を見かけることがありますが、後者が公文書や法令などで用いられる表記であるというだけで、意味上の違いはないと考えています。